一着(読み)イッチャク

デジタル大辞泉 「一着」の意味・読み・例文・類語

いっ‐ちゃく【一着】

[名](スル)
最初に到着すること。競走などで、一番になること。
仕事などで、最初に着手すること。
我党の社会的運動の―として」〈魯庵社会百面相
衣類のひとかさね。洋服のひとそろい。
着用すること。着ること。
「君はいつでもこの袖無ちゃんちゃんを―して居る」〈漱石虞美人草
甲冑かっちゅう一領。
囲碁で、盤面に石を一つ打ち下ろすこと。また、その石。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「一着」の意味・読み・例文・類語

いっ‐ちゃく【一着】

〘名〙
① 競走などで、他のだれよりも速くある地点に到着すること。
② 仕事などで、まず最初に着手すること。〔漢語字類(1869)〕
※社会百面相(1902)〈内田魯庵鉄道国有「我党の社会的運動の一着として鉄道征伐をしては如何に」 〔世説新語補‐逸〕
③ 物事の一段階。一くぎり。
※将来之日本(1886)〈徳富蘇峰〉六「常備軍の制度の創始したるは、実に彼の富が兵に向て、一着の勝を占めたるものなりと云はざる可らず」
④ (「一」はすっかり、全部の意か) 動乱や不穏な状態などが落ち着くこと。平定すること。一途(いっと)
※上杉家文書‐(天正一四年)(1586)九月二五日・羽柴秀吉直書「何之道にも、急度一着候様与思召」
衣服のひとそろえ。一組。一かさね。主として洋服についていう。
遙拝隊長(1950)〈井伏鱒二〉「夏衣裳を一着ととのへると」
⑥ (━する) 衣服を着ること。着用。
※火の柱(1904)〈木下尚江〉二三背広のやや垢つけるを一着なしたる青年」
甲冑(かっちゅう)一領。
⑧ 囲碁などで、石を一つ盤面に置くこと。一手(いって)

ひとつ‐ぎ【一着】

〘名〙 着物を襲(かさね)にしないで一枚だけ着ること。小袖布子(ぬのこ)の類を一枚だけ着ること。また、その着物。ひとつきるもの。
※雑俳・柳多留‐一七(1782)「壱ツ着でもふよかろふと角田川

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