一本槍(読み)いっぽんやり

精選版 日本国語大辞典 「一本槍」の意味・読み・例文・類語

いっぽん‐やり【一本槍】

〘名〙
① 一本の槍。また、それだけで勝負をきめること。
甲陽軍鑑(17C初)品一一被官の取たる、頸などを、高名帳にのせ、一本鑓(ヤリ)を、つきたるほどに」
② 孤立すること。
葉隠(1716頃)「筑前守殿は、一本鑓に被罷成候」
③ 常に行なうただ一つの得意なわざ。ただ一つしかない手段
滑稽本浮世風呂(1809‐13)前「ハハア、一本鎗(イッホンヤリ)じゃナ〈略〉しかしおまへの浄瑠璃は、やっぱり住(すみ)さんの性根で押て行なされ」
④ (形動) ただ一つの手段を押し通すこと。我意をしいて押し通すさま。一点ばり。また、ひたすら、まっすぐ、まさしくなどの意。
人情本・春色玉襷(1856‐57頃)三「被仰(おっしゃ)る通り壱本鎗(ヤリ)、其所(そこ)でござりやせう」
※歌舞伎・裏表柳団画(柳沢騒動)(1875)大切「石置場へ、曲りなすったのを見かけたから、一本槍(ポンヤリ)に来ましたのだ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「一本槍」の意味・読み・例文・類語

いっぽん‐やり【一本×槍】

[名・形動]
目標や手段や態度を一つに絞り、終始それで押し通そうとすること。また、そのさま。「歴史小説一本槍な(の)作家
1本の槍。また、槍のひと突きで勝負を決めること。
「―を突きたるほどに言ひ廻れども」〈甲陽軍鑑・一一〉
ただ一つの得意のわざ。
「ははあ、―ぢゃな」〈滑・浮世風呂・前〉
[類語]ひたすらいちずひたむき一筋ただただただ専一ひとえに一心一念一路一散一目散一直線一点張り一辺倒一意専心営営せっせ遮二無二無二無三がむしゃら一心不乱脇目も振らず直線的まっしぐら直情径行まっすぐ猪突猛進ストレートしゃかりきしゃにむに無心粉骨砕身無我夢中熱中夢中専心専念没入没頭没我傾注傾倒我を忘れるこんを詰める身を入れる身を砕く心血を注ぐ

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