一朝(読み)いっちょう

精選版 日本国語大辞典 「一朝」の意味・読み・例文・類語

いっ‐ちょう ‥テウ【一朝】

〘名〙
① ある日の朝。ある日。
経国集(827)一四・奉試賦得王昭君〈小野未嗣〉「一朝辞寵長沙陌。万里愁聞行路難」
海道記(1223頃)序「五更に都を出て一朝に旅に立つ」 〔詩経‐小雅・彤弓
② わずかな間。かりそめ。
※菅家文草(900頃)二・後漢書竟宴、各詠史、得光武「時龍何処在、光武一朝乗」
太平記(14C後)一〇「源氏多年の蟄懐(ちっくゎい)一朝(テウ)に開る事を得たり」 〔礼記‐檀弓上〕
③ (副詞的に用いられる) あるとき急に。
経国美談(1883‐84)〈矢野龍渓〉前「今若し一朝病苦の為に此処にて死失せば」 〔韓愈‐短燈檠歌〕
朝廷全体。または朝廷に仕えるすべての人。
※中院本平家(13C前)一〇「四しゅ帰伏して遂に門葉にまじはり、一てう信仰してはじめて法流をうく」 〔魏志‐杜畿伝〕

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デジタル大辞泉 「一朝」の意味・読み・例文・類語

いっ‐ちょう〔‐テウ〕【一朝】

[名]
ある朝。ある日。「一朝明ければ」
わずかな間。「一朝にして滅びる」
朝廷全体。また、朝廷に仕えるすべての人。
「―信仰してはじめて法流をうけ給ふ」〈平家・一〇〉
[副]急に何かあるときにいう語。いったん。ひとたび。「一朝事あるときは、すぐ駆けつけよう」
[類語](1一朝一夕一夜/(2一回一遍ひとたび一度短時間一時いっとき一時いちじ一時ひととき一頻ひとしき短日月短時日一朝一夕短いしばらしば暫時少時束の間時の間瞬く間見る間に刹那咄嗟とっさ半時寸陰一時的かりそめ寸刻寸時寸秒片時かたとき瞬時瞬間一瞬数刻たまゆら須臾しゅゆ電光石火はかないあっと言う間間髪をれず

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普及版 字通 「一朝」の読み・字形・画数・意味

【一朝】いつちよう(てう)

一旦。ひとたび。唐・劉希夷白頭を悲しむ翁に代る〕詩 一に臥して、相ひるもの無し 三春の行樂、誰が邊(ほとり)にか在る

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