一曲(読み)いっきょく

精選版 日本国語大辞典 「一曲」の意味・読み・例文・類語

いっ‐きょく【一曲】

〘名〙
音楽舞踊の一区切り。また、音楽の曲一つ。
儀式(872)四「奏風俗楽歌舞一曲退出」
※和漢朗詠(1018頃)上「郷涙数行征戍の客、棹歌一曲釣漁の翁〈慶滋保胤〉」 〔嵆康‐与山巨源絶交書〕
② 舞踊、演奏、詠歌、言語表現などのちょっとした面白味日葡辞書(1603‐04))。
雅楽雑舞の一つ。諸寺勅会法事のときなどに、行列の道行に舞うもの。楽には鳥向楽(ちょうこうらく)や慶雲楽(きょううんらく)を用い、二人で舞う。
※教言卿記‐応永一三年(1406)六月一一日「唐人参北山殿云々、如先規伶人等一曲云々」

ひと‐くねり【一曲】

〘名〙
一度くねること。ひとまがり。
② ちょっとすねること。
一言芳談(1297‐1350頃)上「世間を一くねりうらみたる色にて」

ひと‐まがり【一曲】

〘名〙 一度曲がること。〔いろは字(1559)〕
※流人島にて(1953)〈武田泰淳〉「路は、〈略〉一曲りすると一直線に、島の中腹めがけて」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「一曲」の意味・読み・例文・類語

いっ‐きょく【一曲】

音楽のまとまった作品一つ。または、音楽や舞踊のひとくぎり。
雅楽の舞曲雑楽。寺の行事などの行列の道行きに、左右各一人の舞人が、特殊なつづみを打ち鳴らしながら舞う。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「一曲」の読み・字形・画数・意味

【一曲】いつきよく

川などが屈折する。唐・杜甫〔江村〕詩 江一曲、村をきてる 長夏江村、事事幽なり 音曲の一ふし。魏・康〔山巨源に与へて交を絶つ書〕濁酒一盃、彈琴一曲、志願畢(をは)る。

字通「一」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「一曲」の意味・わかりやすい解説

一曲
いっきょく

舞楽曲名。『一鼓 (いっこ) 』とともに「雑楽」などともいわれる特殊な曲で,舞人は左方の装束を着けて胸に奚婁鼓 (けいろうこ) を吊り,左手に振鼓 (ふりつづみ) を持った者と,右方の装束を着けて胸に一鼓を着けた者の2人で,いずれも右手に桴 (ばち) を持つ。現在では,前奏曲として盤渉 (ばんしき) 調調子および音取 (ねとり) が奏され,当曲 (伴奏曲) としては「鳥向楽 (ちょうこうらく) 」が用いられる。桴を振上げて鼓を打つ手がそのまま舞の手ともなっているが,舞は左方の装束の者だけで,右方の装束の者は単に一鼓を打つだけである。法会舞楽では,行道 (ぎょうどう) に続けて両楽頭が舞う。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android