デジタル大辞泉
「一文」の意味・読み・例文・類語
いち‐もん【一文】
1 銅貨の穴あき銭1枚。銭1枚。→文
2 わずかな金。ほんのちょっとの金。転じて、安っぽいものの意。「一文の値うちもない」
3 一つの文字。
「―不通ノ者」〈日葡〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
いち‐もん【一文】
〘名〙
① 一つの文字。一字。また、一つの文。いちぶん。
※
今昔(1120頃か)一四「
一文一句、他念无くして心を至して誦する験の顕はれて」 〔詩経疏‐
小雅・采菽〕
② (「文」は
貨幣の面に鋳出した文字からといわれる) 銅で鋳造した穴あき銭一枚のこと。通貨の最下位の
単位で、千枚で一貫文。
一文銭。一銭。明治時代、一銭の十分の一として通用したこともある。
※今昔(1120頃か)六「家に一塵の貯へ无し、只、一文の銅の銭許有り」
③ 銭一文に相当するような、ごくわずかな金額、価値。転じて、
接頭語のように
名詞の上に付けて、安っぽい、つまらないの意を表わす。
※
草枕(1906)〈
夏目漱石〉九「画だって話にしちゃ一文の価値もなくなるぢゃありませんか」
いち‐ぶん【一文】
※詩学大成抄(1558‐70頃)一〇「
方丈の記と云あり。〈略〉記のはじめに水の流ことをたとゑに云て、記の一文
(ブン)をかいたと云ぞ」
ひと‐もん【一文】
〘名〙 一文銭の幅または広さをいうか。
※宗五大草紙(1528)
衣装の事「ひもは一文とて、昔より定まりたる事にて候を、今は殊外ひろく候」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報