精選版 日本国語大辞典 「一代」の意味・読み・例文・類語
いち‐だい【一代】
[1] 〘名〙
① 天子や君主が在位する間。
※万葉(8C後)五・沈痾自哀文「一代懽楽未レ尽二席前一〈略〉千年愁苦更継二坐後一」
※更級日記(1059頃)「大嘗会の御禊〈略〉一代に一度の見ものにて」
② 家や事業を継いで主となっている間。
※平家(13C前)一〇「故入道は〈略〉其身一代のさいはひにて、子孫かやうにまかりなるべしや」
※寛永刊本蒙求抄(1529頃)四「又義に今一代の儒者ではない父先祖から儒者の流れぞ」
③ 人の一生涯。生きている間。
※正法眼蔵(1231‐53)安居「大覚世尊、すでに一代のあひだ、一夏も闕如なく」
※浮世草子・好色一代女(1686)五「一代(ダイ)に悪銀(わるがね)つかまして立た事もなし」 〔江掩‐傷友人賦〕
④ その時代。ある一つの時代。当代。
※蕉堅藁(1403)中竺全室和尚自京師還山作詩以献「一代文章同二器之一、道尊還喜至尊知」
※吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉五「一代の画工が精力を消耗して変化を求めた顔」 〔漢書‐曹参伝賛〕
⑤ 家系の初代。第一代。
[2] 〘語素〙
① 名詞の上に付けて、「一代限り」の意を添える。「一代男」「一代女」「一代華族」など。
② 名詞の上に付けて、「一生涯ある状態を貫く」の意を添える。「一代後家」「一代白歯」「一代法華」など。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報