ローマ市民権(読み)ろーましみんけん

山川 世界史小辞典 改訂新版 「ローマ市民権」の解説

ローマ市民権(ローマしみんけん)
Roman citizenship

都市国家ローマの正規の構成員の権利。成人男子のみ。前6世紀には市民団の枠組みが認識され,区に登録され,財産額に応じて従軍義務を定められ,民会参加や土地所有の権利を持つものとされた。市民のみが法の適用を受け,戦利品や植民に際しての土地配分を得られた。ローマの支配拡大とともに,特権として他の共同体市民や解放奴隷にも付与されていった。4~5年ごとに市民調査があり,前508年には13万,アウグストゥス時代には500万を数えた。帝政期,属州人にまで拡大し,212年全自由人に付与された。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のローマ市民権の言及

【ローマ】より

… これらの惨事から生じた国内の対立を前367年の法律で解決した後,ローマはラテン諸都市との全面戦争に入るが,前338年これを抑え,ラティウムを勢力下に入れた。その平定の仕方は,ラテン諸都市に,ローマの民会で投票権を行使しうる完全なローマ市民権を与え,非ラテン系の諸市には,投票権は欠くが,ローマ人と対等の通婚・通商権をもつ不完全なローマ市民権を与え,その他の都市を同盟市とするというもので,こうした等級づけられた市民権の付与と同盟関係の網の目による統合は,後の〈帝国〉の支配構造の原型をなすものであった。 ラティウムの平定後まもなく,前326年より前275年まで数次にわたって南東の山地種族サムニテス(サムニウム人)と激しく戦い,北東部のピケネス族,マルシ族,ウンブリアの諸都市と同盟を結んだ。…

※「ローマ市民権」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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