ロード・ムービー(読み)ろーどむーびー(英語表記)road movie

翻訳|road movie

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロード・ムービー」の意味・わかりやすい解説

ロード・ムービー
ろーどむーびー
road movie

主人公が自宅や故郷を離れ、各地を旅しながら、旅の過程で成長や変貌を遂げていく映画陸路による移動が物語展開の基線をなすが、こうした物語形式の源には、『オデュッセイア』など、西欧の古代叙事詩がある。陸路をいくプロットは映画初期から採用されていたが、確固たるジャンルとして認識され、形成されていくのは、自動車社会が到来し、若者文化が興隆する、第二次世界大戦が終わって以降のことである。口火を切ったのは、『イージー・ライダー』(デニス・ホッパー、1969年)や『俺たちに明日はない』(アーサー・ペン、1967年)などのアメリカのニューシネマだった。日本でこの用語が普及し始めるのは、ドイツのビム・ベンダース監督作品が公開されるようになってからである。『まわり道』(1975)、『さすらい』(1976)、『パリテキサス』(1984)など、彼の作品には旅をモチーフとしたものが多く、そのスタイルを表現するために用いられるようになった。日本映画にも『幸福(しあわせ)の黄色いハンカチ』(山田洋次、1977年)など、ロード・ムービーとよぶにふさわしい作品が生まれている。

奥村 賢 2022年6月22日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ロード・ムービー」の意味・わかりやすい解説

ロード・ムービー
road movie

陸路による移動が物語展開の基線を成す映画。アメリカ映画『イージー・ライダー』 (1969年) などがこれに該当するが,確固とした用語ではない。日本で急速に用いられ始めたのは,ドイツの W.ベンダース監督作品が公開されてからで,『まわり道』 (75年) や『さすらい』 (76年) など,彼の作品には旅をモチーフとしたものが多く,その特徴を表現するために使われるようになった。ベンダースは自分が率いる製作会社の社名にも,この言葉を冠している。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android