日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ロート(André Lhote)
ろーと
André Lhote
(1885―1962)
フランスの画家。ボルドーに生まれる。同地の美術学校で彫刻を学び、のち絵画に転じて1908年パリに出た。初めゴーギャンやセザンヌに傾倒し、やがてキュビスムの運動に加わった。対象を独特の明確な形態と色面に分解し再構成する理論を樹立して、特徴的な画面をつくった。ネオ・キュビスムともよばれているが、あまりにも理論にこだわったため、作品の芸術的な創造性に欠けるきらいがある。アンデパンダンやサロン・ドートンヌに出品、一時、日本の二科会の会員でもあった。教育者や美術評論家として才能を発揮し、モンパルナスに研究所を創設したほか、『絵画――魂と精神』(1934)、『風景画論』(1937)などの著作がある。パリに没。
[染谷 滋]