ローチ(Max Roach)(読み)ろーち(英語表記)Max Roach

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ローチ(Max Roach)
ろーち
Max Roach
(1924―2007)

アメリカのジャズドラム奏者。ノース・カロライナ州ニュー・ランド生まれ。本名マクスウェル・ローチMaxwell Roach。4歳のときニューヨーク移住。10歳からゴスペル楽団でドラムを演奏する。マンハッタン音楽学校で学び、1942年からハーレムのクラブで先輩ジャズメンと共演を始める。当時の新しいジャズであるビ・バップを理解し、ディジー・ガレスピー、ベニー・カーターBenny Carter(1907―2003)らのグループを経て、1947年から1949年までチャーリー・パーカークインテット(五重奏団)に参加して広く知られた。ケニー・クラークKenny Clarke(1914―1985)に始まるバップ・ドラム奏法と近代ドラム奏法を発展させた、正確で知的なドラムの名手である。1954年から1956年までトランペット奏者クリフォード・ブラウンとのクインテットで活躍して名声を高めた。1956年に4分の3拍子による変拍子ジャズの名演アルバム『Jazz in 3/4 Time』を発表。1960年代前半は黒人問題で積極的に行動し、歌手のアビー・リンカーンAbbey Lincoln(1930―2010)を迎えた政治色の濃いアルバム『ウィ・インシスト』We Insist! Max Roach's Freedom Now Suite(1960)などを発表する。1962年アビーと結婚(1970年離婚)。1970年代以降はフリー・ジャズも演奏した。1972年からはマサチューセッツ大学教鞭(きょうべん)をとり、若手逸材を発掘して意欲的な活動を続けた。

青木 啓]

『市川宇一郎著『極私的モダン・ジャズ・ドラマー論』(2002・音楽之友社)』

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