ローズマリー(読み)ろーずまりー(英語表記)rosemary

翻訳|rosemary

精選版 日本国語大辞典 「ローズマリー」の意味・読み・例文・類語

ローズマリー

〘名〙 (rosemary) =まんねんろう(迷迭香)
※化粧美学(1924)〈三須裕〉「現に香水の原料となって、人に知られて居る芳香は〈略〉ロスマリー」

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デジタル大辞泉 「ローズマリー」の意味・読み・例文・類語

ローズマリー(rosemary)

シソ科小低木。高さ約1メートル。全体に芳香がある。葉は線形で裏面に綿毛があり、対生する。初夏、淡紫色の唇形の花をつける。葉から香油をとり、香水や石鹸せっけんなどに、また香草として肉料理などに用いる。地中海沿岸地方の原産。迷迭香まんねんろう

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ローズマリー」の意味・わかりやすい解説

ローズマリー
ろーずまりー
rosemary
[学] Rosmarinus officinalis L.

シソ科(APG分類:シソ科)の低木和名マンネンロウという。地中海沿岸原産で、古くからこの葉をハーブ(香草)として親しんでいる。高さは0.6~1.2メートル、葉は長さ3センチメートルの細い革質で、両縁が裏側に巻き込んでいる。葉の裏面は綿状に毛が密生し、灰色にみえる。4~5月に葉腋(ようえき)に淡紫色花をつけ、香りがよい。この花からとれた蜂蜜(はちみつ)は最上品質とされ、南フランスの名産である。葉には甘い香りがあり、迷迭香(めいてつこう)とよばれる香油をとり、せっけんや香水をつくる。香りの成分はピネンシネオール竜脳、樟脳(しょうのう)などである。

 日本へは文政(ぶんせい)年間(1818~1830)に渡来したが、あまり栽培されない。4月に実生(みしょう)または挿木株分けで殖やす。暖かい乾燥気候の所でよく育つ。

[星川清親 2021年9月17日]

食品

直射日光を避けて風乾された葉は細く反り返った松葉状で、新鮮な甘い芳香と刺激的なほろ苦さをもち、においだちがよく、かつ長続きするのが特徴である。この強い香味が肉の臭み消しになるので、肉料理にはよく用いられる。各種スープ、シチューや、バーベキューソースなどのつけ焼きのたれにもよく、ポテトカリフラワーなどのゆで野菜にふりかけて食べたりする。口臭除去の効果もある。古代ギリシアの時代からヨーロッパではこのローズマリーが頭脳を明晰(めいせき)にし、記憶力を増す力があると信じられ、また魔女や悪魔除(よ)けにも使われていたという。

[齋藤 浩 2021年9月17日]

文化史

ローズマリーはラテン語のロスマリヌスRosmarinus(海のしずく)に由来し、海に面した崖(がけ)に多いことから名づけられた。古代のローマで栽培され、花冠に編み、ギリシアでは体を暖める薬として飲用した。中世のイギリスやフランスでは死者に持たせ、葬儀には小枝を持って参列し墓に投げ入れた。結婚式には、香水をかけ、金粉をまぶして飾った。シェークスピアは『ハムレット』でオフィーリアにローズマリーを持たせ「忘れないでね」と語らせる。花言葉の一つは「変わらぬ愛と思い出」。

[湯浅浩史 2021年9月17日]


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食の医学館 「ローズマリー」の解説

ローズマリー

ローズマリーは、ハーブのなかでも1、2を争うほど、美しい花を咲かせることで知られます。
 古代ギリシャでは、頭の働きをよくするハーブとされ、受験を迎えた学生たちは、髪にローズマリーの花輪を飾って好成績を祈りました。
 また、ハンガリーの女王が若さを保つために使ったという伝説もあり、いまも若返りのハーブとして人気があります。
 ローズマリーには、抗菌、胆汁(たんじゅう)の分泌促進(ぶんぴつそくしん)、駆風(くふう)(腸管内にたまったガスの排除)、利尿、発汗促進、抗酸化といった作用があるほか、気分を晴れやかにして精神を安定させ、神経系の調和をとる働きもあります。
 具体的症状としては、消化不良、腹部膨満、頭痛、うつ病、不安神経症などに効果的。
○外用としての使い方
 ローズマリーを漬けたブランデーでマッサージをすると、リウマチや神経痛の痛みを抑えるのにも役立つといわれています。
〈香りの持続性が高く、肉の臭み消しには効果バツグン〉
○食品としての使い方
 ローズマリーには樟脳(しょうのう)やお茶に似た強い芳香と、やわらかなほろにがさがあります。
 この香りは持続性が高く、肉の臭み消しにたいへん効果的。また、カリフラワーやカブ、ジャガイモをゆでるとき、お湯にひとつまみ加えたり、ソースやドレッシングにひと振りしても、風味よく仕上がります。葉を浸しておいた牛乳を、プリンなどのお菓子に使うのもいいでしょう。
 ただ、香りが強いので、とくに粉末のものを使う場合は、使う量をひかえめにしておくのが無難です。

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百科事典マイペディア 「ローズマリー」の意味・わかりやすい解説

ローズマリー

マンネンロウとも。地中海沿岸原産のシソ科の常緑低木。高さ60〜150cm。葉は革質で細長く,長さ約3cm。4〜5月,淡紫色の唇形(しんけい)花を開く。茎葉にやわらかい芳香があり,乾燥粉末の形で香辛料として羊肉料理などに用いられる。精油は香料,薬用とする。香料成分はピネン,シネオール,竜脳。

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改訂新版 世界大百科事典 「ローズマリー」の意味・わかりやすい解説

ローズマリー
rosemary

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栄養・生化学辞典 「ローズマリー」の解説

ローズマリー

 [Rosmarinus officinalis].マンネンロウともいう.シソ目シソ科の植物の若い葉から作るスパイスの一つ.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ローズマリー」の意味・わかりやすい解説

ローズマリー

マンネンロウ(万年蝋)」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内のローズマリーの言及

【マンネンロウ】より

…ヨーロッパ,地中海沿岸地方原産のシソ科の小灌木。ローズマリーとも呼ばれる。丈は60~120cm,葉は3cmほどの細い革質で,両側が裏面に巻き込む。…

※「ローズマリー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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