ロンドン(Fritz Wolfgang London)(読み)ろんどん(英語表記)Fritz Wolfgang London

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ロンドン(Fritz Wolfgang London)
ろんどん
Fritz Wolfgang London
(1900―1954)

アメリカの理論物理学者。数学者を父に、ブレスラウ(現、ポーランドブロツワフ)に生まれ、ボン大学、ミュンヘン大学などに学んで1921年学位を取得。その後、中等学校の教師になったが、ふたたび研究生活に戻った。1933年ナチスの台頭でドイツを離れ、オックスフォード、パリで研究を続け、1939年アメリカに渡り、デューク大学理論化学教授となり、生涯その地位にあった。1927年ハイトラーとともに水素分子の構造を量子力学的に論じ、化学結合量子論を開拓した研究(ハイトラー‐ロンドンの理論)は著名である。ほかに極低温現象の研究、超伝導に関する現象論的な式(ロンドン方程式、1935年)の提出も重要な業績であり、液体ヘリウムに関する研究もある。なお、イギリスで活躍した物理学者のハインツHeinz London(1907―1970)は弟である。

藤村 淳]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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