日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ロング(Richard Long)
ろんぐ
Richard Long
(1945― )
イギリスの造形作家。大地を表現の素材とするランド・アート(アースワーク)の代表的存在。ブリストル(南イングランド)に生まれる。ブリストル美術学校(1962~66)、ロンドンのセント・マーチン美術学校(1966~68)でアンソニー・カロらに学ぶ。ノルウェー、ペルー、ケニア、日本など世界各地を歩き、作品を制作。高原や川で小枝や石を直線あるいは円環状に並べるという作業を行い、美術館や画廊の中で、その場所を記録した写真や地図を石や小枝とともに展示する。それは彼の歩行の記録であり、人間と自然とのかかわりを簡潔に表現したものである。自然に対する敬虔(けいけん)な態度は東洋的自然観に通じるものがある。1996年(平成8)に世田谷美術館と京都国立近代美術館において「リチャード・ロング 山行水行展」が開催された。香川県の直島(なおしま)コンテンポラリーアートミュージアムに『瀬戸内海の流木の円』などの作品が展示されている。
[斉藤泰嘉]
『リチャード・ロング、ニコラス・セロータほか著『リチャード・ロング 山行水行』(1996・淡交社)』
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