日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ロング(Huey Pierce Long)
ろんぐ
Huey Pierce Long
(1893―1935)
アメリカの政治家。8月30日ルイジアナ州生まれ。苦学してトゥレーン大学を中退。弁護士を経てルイジアナ州政界に入り、同州鉄道委員会や公共サービス委員会で活躍、同州知事(1928~31)、ついで連邦上院議員に当選した(1931~35)。州立大学医学部の創設、非識字者解消計画など州政治において重要な足跡を残したが、強力な政治マシーンによる独裁的な支配でも知られ、州知事時代には州議会が弾劾しようとしたこともあった。扇動家的な面も多分に有し、私有財産制の制限と高率課税による再分配を提唱した「富の分配」運動を興して大衆の間で大きな人気を獲得、F・D・ルーズベルトの有力な対抗者と目されるに至ったが、35年9月10日に暗殺された。
[新川健三郎]