ロベール(英語表記)Hubert Robert

改訂新版 世界大百科事典 「ロベール」の意味・わかりやすい解説

ロベール
Hubert Robert
生没年:1733-1808

フランスの画家パリ生れ。1754年ローマに留学。フラゴナールたちと知りあい,またピラネージ,パンニーニたちの影響下に風景画を描く。65年パリに戻り,67年アカデミー会員となる。古代ローマの廃墟素描をもととするイタリア風景,70年以降はパリの日常的光景,フランス各地の記念建造物など,主として遺跡と都市風景を主題とする,詩情に富むロマン主義的な作品を手がける。また当時のイギリス庭園趣味の流行に応じて,ベルサイユ宮殿の庭園などの設計をも行う。84年王立美術館の絵画監理官。大革命時には93-94年収監されるが,その後ルーブル美術館開館のための初代館長として陳列計画に携わる。その〈大ギャラリー〉の構想は,自身の計画と,廃墟となったギャラリーなどを扱った油彩作品として残されている(ルーブル美術館)。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ロベール」の意味・わかりやすい解説

ロベール
Robert, Hubert

[生]1733.5.22. パリ
[没]1808.4.15. パリ
フランスの風景画家。彫刻家の L.スロッツに師事したのち,1754年にローマに行き,長くイタリアに滞在。ローマの廃墟のある風景や古代建築を詩的情趣をもって描き,「廃墟のロベール」と呼ばれた。1765年に帰国,翌 1766年王立アカデミーの会員,のち会長となった。フランス革命のおりには一時投獄された。主要作品『ニームディアナ神殿の内部』 (1787,ルーブル美術館) ,『ポン・デュ・ガール』 (1787,同美術館) ,『廃墟となったルーブルのグランド・ギャラリーの想像図』 (1796,同美術館) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロベール」の意味・わかりやすい解説

ロベール
ろべーる
Marthe Robert

生年不詳。フランスの現代女流批評家。1914年、パリ生まれともいわれる。初めドイツ文学者として、ゲーテグリム兄弟などの翻訳をしたが、「カフカの意味はその技法にある」(バルト)ことを示した『カフカ』(1960)で批評家として認められる。そののち、フェミナ賞を得た『古いものと新しいもの』L'Ancien et le Nouveau(1963)、『起源の小説と小説の起源』(1973)で、書くことの現代的意義を鋭く問うた。そのほかに出色のフロイト論『エディプスからモーゼへ』D'Œdipe à Moïse(1974)などがある。

[西永良成]

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