ロビンズ(Lionel Charles Robbins)(読み)ろびんず(英語表記)Lionel Charles Robbins

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ロビンズ(Lionel Charles Robbins)
ろびんず
Lionel Charles Robbins
(1898―1984)

イギリス経済学者。イングランドの南東部ミドルセックスに生まれる。ロンドン・スクール・オブ・エコノミックスで教育を受け、同大学の助手、講師を経て、経済学の教授(1929~61)、非常勤教授(1962~67)、名誉教授(1967~80)を務める。その間、1930年に新設の経済諮問委員会(五人委員会)に参加、大不況を克服するために輸入制限や公共事業の促進を勧めるJ・M・ケインズ、A・C・ピグーらに反対し孤軍奮闘、反ケインズの立場を固守した。また、高等教育委員会委員長(1961~63)としてイギリスの高等教育の改善にも貢献した。ロビンズは、主著『経済学の本質意義An Essay on the Nature and Significance of Economic Science(1932)のなかで、「経済学は人間行動を所与の目的と択一的な用途をもつ希少な手段との間の関係として研究する科学である」と経済学を定義したことでよく知られている。彼は、経済学の基本的公準内省に基づきアプリオリに真であると考えており、オーストリア学派の影響が色濃くみられる。

[佐藤隆三]

『辻六兵衛訳『経済学の本質と意義』(1957・東洋経済新報社)』『市川泰治郎訳『古典経済学の経済政策理論』(1964・東洋経済新報社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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