ロテノン(英語表記)rotenone

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「ロテノン」の解説

ロテノン
rotenone

熱帯地方原産のマメ科の植物デリスやクーベ Lonchocarpus spp.などの根から得られる殺虫作用のある無色結晶。水にほとんど溶けず,アセトンクロロホルムなどに溶けやすい。マレー半島や南アメリカの先住民は魚をとるため水に加える毒物として用いていた。植物性殺虫剤としては,特にサルハムシ類,ウリバエ類に対して使う。デリス粉,デリス乳剤などとして使用する。生体への毒作用はミトコンドリアでの酸化的リン酸化を阻止することからきていて,研究用阻害剤としても広く利用されている。

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化学辞典 第2版「ロテノン」の解説

ロテノン
ロテノン
rotenone

C23H22O6(394.42).デリスともいう.デリス根の殺虫成分.東南アジアに産生するデリスDerris ellipticaの根のしぼり汁から農薬がつくられたが,ロテノンはその殺虫主成分.無色の結晶.融点165~166 ℃.-228°(ベンゼン).有機溶媒に可溶,水に不溶.すべての動物に対して有毒であり,呼吸中枢および血管運動神経を麻ひさせる.LD50 350 mg/kg(マウス経口).[CAS 83-79-4]

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世界大百科事典 第2版「ロテノン」の解説

ロテノン【rotenone】

東南アジアに自生しているマメ科植物のデリス近縁の植物の根部に含まれる殺虫成分。原住民が根のしぼり汁を川中に投じて魚をとっていたといわれる。その後デリス根が殺虫剤として有効なことが明らかになり,その殺虫有効成分としてロテノンが単離された。融点163℃を示す結晶である。ロテノンは接触剤および食毒として作用し,アブラムシグンバイムシ,アカハダニ,ウリバエなどの害虫に有効であるが,ピレトリンと異なり遅効性である。

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世界大百科事典内のロテノンの言及

【デリス】より

…基源植物のデリス属に殺虫成分があることはヨーロッパでは19世紀中ごろに知られており,またマレーシア地域から太平洋諸島では昔から毒流し漁法の重要な魚毒植物でもあった。トバ,タチトバ,ハイトバなどがデリスの殺虫有効成分であるロテノンを多量に含み,栽培もされる。トバD.elliptica Benth.(イラスト)はフジに似た木本性つる植物で,葉は奇数羽状複葉で4~6対の小葉を有する。…

※「ロテノン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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