ロスコ

デジタル大辞泉 「ロスコ」の意味・読み・例文・類語

ロスコ(Mark Rothko)

[1903~1970]米国画家ロシア生まれ。シュールレアリスムなどを経て、カンバス内側四角形矩形くけいで区切る独自の作風を確立し、抽象絵画の代表的画家となった。

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百科事典マイペディア 「ロスコ」の意味・わかりやすい解説

ロスコ

ロシア出身,米国の画家。10歳の時渡米シュルレアリスムの影響を受け,有機的な形態と穏やかな色彩による抽象絵画を制作していたが,1949年頃から輪郭の曖昧な方形が画面を構成するカラー・フィールド・ペインティング様式に到達した。色彩の精妙なバランスと光のような拡がりは,暝想的で神秘的な静謐を湛えている。1958年から壁画制作に着手し,レストラン〈フォーシーズンズ〉のための壁画に取りかかるが,ロスコ自身の意図により中断された(そのうち7点が千葉県佐倉市の川村記念美術館〈ロスコ・ルーム〉に展示されている)。壁画は収集家のド・メニル夫妻の依頼で制作された〈ロスコ・チャペル〉(1964年―1967年制作)のみが完全な形で実現している。代表作に《赤の上のオーリーと赤》(1954年,ワシントン,フィリップス・コレクション蔵)などがある。→抽象表現主義
→関連項目滋賀県立近代美術館スティルロサンゼルス現代美術館

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改訂新版 世界大百科事典 「ロスコ」の意味・わかりやすい解説

ロスコ
Mark Rothko
生没年:1903-70

アメリカの画家。ロシアのドビンスク(現,ダウガフピルス)に生まれ,10歳のときに渡米。イェール大学およびアート・スチューデンツ・リーグに学ぶ。1935年ゴットリーブAdolph Gottlieb(1903-74)と表現主義的傾向のグループ〈ザ・テンThe Ten〉を設立。はじめはフォービスムないしキュビスム的な,一種の表現主義的な絵を描き,次いで40年代前半にかけて,シュルレアリスムとでも呼ぶべき作風になる。40年代半ばころからは,たて長の画面に大きな矩形が浮遊する,息づくような独自の平面絵画を実現してゆく。はじめは赤系統の色彩が勝っていたが最晩年は黒や灰色が多くなり,感覚的なものから精神的なものまでを包含する作品を制作し,戦後絵画を代表する画家の一人となった。また生涯にわたって美術教育にたずさわった。動機は特定できないが70年2月剃刀で腕を切り,自殺した。死後ヒューストンにロスコの絵で飾られた〈ロスコ・チャペル〉が完成した。抽象表現主義作家の一人に数えられることが多いが,彼自身はそうみなされることを好まなかった。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ロスコ」の意味・わかりやすい解説

ロスコ
Rothko, Mark

[生]1903.10.7. ドビンスク
[没]1970.2.25. ニューヨーク
ロシア生れのアメリカの画家。 1913年家族とともにアメリカに移住し,エール大学,アート・スチューデンツ・リーグで学んだ。 1940年代に入ってシュルレアリスムの影響を受け,有機形態を記号化したような絵をかき,47年頃からは空間に色面が浮んだような作品を描いた。 50年代になり大画面に2つまたは3つの色面を水平に配列した作品を制作。輪郭のにじんだ色面が背景に漂うように融合する作品で,抽象表現主義の画家として広く知られるようになった。 58年から壁画も手がけ,のちに「ロスコ・チャペル」と呼ばれるようになったヒューストンの教会の壁画などがある。 70年自殺した。主要作品『赤,茶色,黒』 (1958,ニューヨーク近代美術館) など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロスコ」の意味・わかりやすい解説

ロスコ
ろすこ
Mark Rothko
(1903―1970)

アメリカの抽象画家。ロシアのドビンスクに生まれる。1913年に家族とともに合衆国のオレゴン州ポートランドに移住し、その後、エール大学とアート・スチューデンツ・リーグに学んだ。29年から作品を発表し、36~37年には連邦美術計画の仕事に従事。初期にはシュルレアリスムの影響を受けた作品を制作したが、第二次世界大戦後、独自の作風を確立して抽象表現主義の代表的画家となった。単純で普遍的な形態を追求したその絵画は、大きなカンバスの内側を四角形や帯状の矩形(くけい)でくぎった色面構成からなり、芒洋(ぼうよう)とした広がりと瞑想(めいそう)的な静けさをたたえている。

[石崎浩一郎]

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