ロシア・フランス同盟(読み)ろしあふらんすどうめい(英語表記)Franco-Russian Alliance

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロシア・フランス同盟」の意味・わかりやすい解説

ロシア・フランス同盟
ろしあふらんすどうめい
Franco-Russian Alliance

1891~94年に成立したロシア、フランス間の政治・軍事同盟。19世紀後半のロシアとフランスは、ビスマルクのフランス孤立化政策(1873年の三帝同盟、87年の独露再保障条約など)によって疎遠な関係にあったが、90年ビスマルクが退陣すると、ドイツの対ロシア接近政策に変化が現れた。加えて91年フランスがロシア公債を引き受けたことから、ロシア、フランスの関係は密接となり、同年両国は政治協定を締結、翌92年軍事協定が結ばれた。このときロシア皇帝アレクサンドル3世は、フランスとの軍事同盟形成を危惧(きぐ)逡巡(しゅんじゅん)し、93年末に至ってようやく批准、94年1月発効させた。条約の締結は秘密にされたが、これによってヨーロッパ大陸は、ドイツ、オーストリア、イタリアの三国同盟とロシア、フランス同盟という二大陣営に分かれ、やがて後者にイギリスが加わって第一次世界大戦の素地が形成されることになった。

[藤村瞬一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android