レーノルズ(英語表記)Joshua Reynolds

精選版 日本国語大辞典 「レーノルズ」の意味・読み・例文・類語

レーノルズ

[一] (Osborne Reynolds オズボーン━) イギリス工学者。流体運動を研究。乱流の研究を開拓し、近代流体力学を基礎づけた。(一八四二‐一九一二
[二] (Sir Joshua Reynolds サー=ジョシュア━) イギリスの画家。ロイヤル‐アカデミーの初代院長として、一八世紀後半のイギリス美術界に君臨イタリアおよびフランドル技法をとりいれた作風で、数多くの肖像画を描いた。(一七二三‐九二

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改訂新版 世界大百科事典 「レーノルズ」の意味・わかりやすい解説

レーノルズ
Joshua Reynolds
生没年:1723-92

イギリスの肖像画家。ローヤル・アカデミーの初代院長で,18世紀後半のイギリス美術界に君臨した。デボンシャーのプリマス近郊プリンプトンPlymptonで,グラマー・スクールの校長を父に生まれ,教養を重んずる家庭環境の中で育つ。1740-43年ロンドンの肖像画家ハドソンThomas Hudson(1701-79)のもとで修業。50-52年のイタリア滞在中に,ラファエロミケランジェロコレッジョティツィアーノ等のルネサンス画家を研究し,53年以降ロンドンに定住。60年代に上層階級を顧客とする肖像画家としての地位を確立し,68年のローヤル・アカデミー設立時には初代院長に最もふさわしい芸術家とされた。このあと89年視力を失うまで,各界名士,淑女の肖像画を無数に制作し,そのかたわらローヤル・アカデミーで69-90年に15回の講義を行う。これは《美術講義》の表題で出版。その内容は,大陸諸国のアカデミーの綱領に学んだ古典主義的芸術観である。彼はこの講義およびその刊行によって,イギリス美術の水準を高めるのに寄与し,また実作では,イギリス絵画の伝統的な分野である肖像画において,いわゆる〈グランド・マナーGrand Manner(大様式)〉を確立した。葬儀は芸術家としてはまれなほど盛大で,セント・ポール大聖堂に埋葬された。
執筆者:

レーノルズ
Roger Reynolds
生没年:1934-

アメリカの作曲家。ミシガン大学で工学と作曲を修める。1959-62年アナーバーでマルチ・メディアのための〈Once〉グループに参加。奨学金を得てケルンの西ドイツ放送電子音楽スタジオやパリ,イタリアに学ぶ。66-69年日本に滞在し,日米〈クロス・トーク〉コンサート・シリーズを企画。69年カリフォルニア大学サン・ディエゴ校助教授。71年よりイリノイ大学客員教授。不確定性やハプニングに強い関心をもち,C.E.アイブズ,E.バレーズ,J.ケージの影響を受けている。おもな作品に8歌手と器楽アンサンブルのための《アイスクリームの皇帝》(1962,74改訂),9女声,9男性マイム,3管楽器,電子音楽,映写機による《内と外I/O》(1971)などがある。
執筆者:

レーノルズ
Osborne Reynolds
生没年:1842-1912

イギリスの工学者。アイルランドのベルファストの生れ。ケンブリッジで数学を学び,1867年に卒業後土木会社に入るが,翌年,新設のオーエンズ・カレッジの工学教授職につき,以後,37年間その地位にあった。おもに流体力学の研究を行い,管中の流れの乱流への遷移の限界を与えるレーノルズ数や,流体運動の相似を示すレーノルズ相似則などを見いだした。このほか,軸受の潤滑理論や水の平均比熱(凝固点と沸点間)の大規模実験による決定などの業績もある。またマンチェスター文芸・哲学協会のメンバーとして活躍,77年にはローヤル・ソサエティ会員にも選ばれている。
執筆者:

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百科事典マイペディア 「レーノルズ」の意味・わかりやすい解説

レーノルズ

英国の画家。デボンシャーのプリンプトン生れ。1768年新設のローヤル・アカデミーの初代会長,ジョージ3世の宮廷画家などを務め,18世紀後半の英国美術界で指導的地位を占めた。歴史画と肖像画を得意とし,ファン・デイク風の優美な様式に,レンブラント的な明暗法を加味した肖像画様式を樹立。約2000点の肖像画の中で《三義神に供物を捧げるサラ・バンベリー夫人》(1765年,シカゴ美術館蔵),《悲劇のミューズに扮するサラ・シドンズ夫人》(1784年,サン・マリノ,ハンティントン図書館美術館蔵)が有名。
→関連項目ゲーンズバラスチュアートテート・ギャラリーロレンス

レーノルズ

英国の工学者。1868年マンチェスターのオーエンズ大学教授。水力学,流体力学の研究と応用に貢献,乱流の限界を与えるレーノルズ数,流体運動に関するレーノルズ相似法則を発見(1883年)。
→関連項目流体力学

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世界大百科事典(旧版)内のレーノルズの言及

【イギリス美術】より

…彼は当時のイギリス風俗を活写したが,そこには単なる風俗描写に終わらない風刺性とユーモアが見られ,これはイギリス美術の伝統のひとつとなった。 16~17世紀に外来の画家たちによって培われた肖像画の伝統は,18世紀後半のJ.レーノルズ,T.ゲーンズバラを中心としてひとつの頂点に達した。大陸の荘重なバロック様式,華麗なロココ様式に通じる肖像画もあるが,家庭的な情景の中に何人かの人物の肖像を描き込んだいわゆる〈カンバセーション・ピース〉が,新しいタイプの肖像画として人気を博した。…

【潤滑】より

…このように完全な流体膜ができていて,その圧力が荷重を支えている状態が,流体潤滑である。ジャーナル軸受の中が流体潤滑の状態にあることは,1883年,イギリスのタワーBeauchamp Tower(1845‐1904)によって実験的に見いだされ,86年,O.レーノルズによって流体力学的に説明された。流体潤滑の理論はその後多数の研究者によって発展させられたが,レーノルズの理論は,今日でもなおその基礎とされている。…

【乱流】より

…このような状態が乱流である。 管内での乱流の発生を最初に組織的に研究したのが,O.レーノルズである。彼はこの研究において,流量の目安となる中心軸上流速U,円管の半径a,流体のねばさを表す動粘性係数νの三つから作られる単位をもたない量,すなわち無次元量Ua/νの大きさが,乱流状態が出現するか否かを決定することを発見した。…

※「レーノルズ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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