日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
レンツ(Hermann Lenz)
れんつ
Hermann Lenz
(1913―1998)
ドイツの作家。第二次世界大戦末期アメリカ軍の捕虜となり、1946年故郷シュトゥットガルトに帰る。最初の短編は19世紀末のウィーンを舞台とした『静かな夜』(1947)。初めは目だたなかったが、70年代にハントケの推奨で遅い名声を得る。78年ビュヒナー賞受賞。「内面的にそばに立つ」と自己の態度を表現。『住む人のいない部屋』(1966)から『生きのびることと生きることの日記』(1978)までの自伝的長編四部作、『内面世界』長編三部作(1980)があり、ほかに『ロシアの虹(にじ)』(1959)、『鏡の小屋』(1962)などがある。
[長橋芙美子]