レギア(英語表記)Augusto Leguía

改訂新版 世界大百科事典 「レギア」の意味・わかりやすい解説

レギア
Augusto Leguía
生没年:1863-1932

ペルー大統領。在任1908-12年,19-30年。とくに第2次政権は,〈独裁の11年間〉として有名。1919年の大統領選挙で〈新国家〉の建設を訴え,学生・労働者の広い支持を得て支配勢力を政治的に駆逐したが,独裁的権力手中にするや,民主的改革の動きを弾圧する一方で,アメリカから顧問団をはじめ資本技術を大量に導入して都市開発近代化を図った。大恐慌で資本の流入が停止し,政権は打倒された。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「レギア」の意味・わかりやすい解説

レギア
れぎあ
Augusto Bernardino Leguía Salcedo
(1863―1932)

ペルーの国家の近代化、統合化を図った大統領。当初実業家としてアメリカ系保険会社の代理人となり、1903年カンダモ政権の蔵相、08~12年、19~30年の二期大統領に就任した。ブルジョアジーの代表として、国内開発のため、道路、鉄道建設、都市改造、公共事業を推進した。これによってとくにアメリカからの借款、投資が急増し、貿易を含めて対米依存が顕著となった。また当時としては進歩的な「20年憲法」を制定し、原住民共同体の法的承認などの原住民政策を打ち出し、その統合化を図った。その支持層は都市中間階級、学生にも及んだが、しだいに離反し、政権自体も世界恐慌の影響を受けて崩壊した。

[辻 豊治]

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百科事典マイペディア 「レギア」の意味・わかりやすい解説

レギア

ペルーの大統領(在任1908年―1912年,1919年―1930年)。第2次政権は〈独裁の11年間〉と呼ばれる。1919年〈新国家〉の建設を訴えて学生・労働者の支持を得たが,権力を手中にするや,民主的改革の動きを弾圧する一方,米国から資本・技術を導入して都市開発と近代化を図った。大恐慌で資本流入が停止し,政権は打倒された。
→関連項目アヤ・デ・ラ・トーレペルー

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世界大百科事典(旧版)内のレギアの言及

【ペルー】より

…セルバは20世紀初頭,北部のロレト県において一時的なゴム・ブームにわいたことがあるが,未開拓のジャングル地域であり,経済的には北部の石油,中部プカルパの木材,南部のコーヒー栽培が重要である。 ペルーにおける資本主義の基礎は,19世紀末から20世紀初頭のピエロラNicolás de Piérola(在任1895‐99),レギア両政権による近代化政策(金本位制,勧業省設置,中央準備銀行創設など)および鉄道,道路建設,都市改造などの経済基盤整備により築かれた。しかし20世紀前半を通じて,ペルー経済の基本的特徴である輸出依存,外資依存,近代化の進んだコスタと後進的なシエラとの二重構造,大土地所有制は存続した。…

※「レギア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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