レア(英語表記)rhea
nandu

デジタル大辞泉 「レア」の意味・読み・例文・類語

レア(Rheā)

ギリシャ神話で、大地の女神。ウラノスガイアの子。弟クロノスと結婚してゼウスヘラポセイドンらを産んだ。レアー。
(Rhea)土星の第5衛星。1672年にカッシーニが発見。名はに由来。土星の衛星のうちで2番目に大きい。主に氷で形成される。直径は約1530キロ(地球の約0.12倍)。

レア(rare)

ビーフステーキの焼き方で、表面だけを強火で軽く焼くもの。生焼き。→ウエルダンミディアム

レア(rhea)

レア目レア科の鳥。ダチョウに似るが、頭高約1.3メートルと小形。首は細長く、くちばしは扁平で幅広い。翼は退化して小さく、足指は3本ある。全体に灰褐色。南アメリカの草原に分布。アメリカだちょう。

レア(rare)

[名・形動]まれなこと。珍しいこと。また、そのさま。「レアなケース」

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精選版 日本国語大辞典 「レア」の意味・読み・例文・類語

レア

〘名〙 (rare)⸨レヤー⸩
ステーキの焼き方で、表面だけを強火で焼き、中まで火を通さないものをいう。生焼け。
② (形動) まれなこと。珍しいこと。また、そのさま。「レアなケース」「レア物(もの)」 〔外来語辞典(1914)〕

レア

〘名〙 (rhea) レア科の走鳥。ダチョウに似ているがやや小形。体高約一・二メートル。くびは細長く、白色の羽毛でおおわれ、くちばしは扁平で幅広い。あしは黄褐色で、指は三本。南アメリカの平原にすみ、木の実・葉や小動物を食べる。羽毛は装飾用に使う。アメリカだちょう。

レア

(Rhea) ギリシア神話中の大地の女神。ウラノスとガイアの子。クロノスの妻となってゼウスらを産んだ。

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改訂新版 世界大百科事典 「レア」の意味・わかりやすい解説

レア
rhea
nandu

ダチョウ目(またはレア目)レア科の鳥の1種,またはレア科の鳥の総称。レアRhea americanaは,一見ダチョウに似た大型走鳥類で,アメリカダチョウともいう。頭高1.7m,体重25kgに及ぶ。大きさはダチョウに比べるとかなり小さいが,新世界の鳥の中ではいちばん重い。羽毛は軟らかく,ぱさぱさとしている。ダチョウと違って,頭頸(とうけい)部や腿は羽毛におおわれ,皮膚が裸出していない。翼は小さく,尾羽はない。脚は強大で,あしゆびは3本ある(後指がない)。全身灰褐色で,雌雄は同色,雄は雌より少し大きい。

 ブラジル東部からアルゼンチン中部まで分布する。灌木の散在する草原にすみ,食物は大部分が草,根,種子などの植物質で,昆虫類,カタツムリ,小型の哺乳類なども食べている。他の走鳥類と同様に飛ぶことはできないが,速く走り,泳ぎもうまい。群れで生活していて,繁殖期以外は20~30羽(ときには50~60羽以上)の群れをつくっている。繁殖期が始まると,雄は他の雄と争い,テリトリーを占め,また多くの雌の前でディスプレーを行って雌を引きつける。次いで雄は,地面に大きなくぼみをつくり,中央に若干の草を敷いて産座とし,交尾した雌をその巣に導く。一つの巣にはふつう6羽前後の雌が数日おきに1卵ずつ産卵するので,1巣の卵数は15~20個に及ぶ(ときには20個以上,80個の記録もある)。卵は黄金色だが,すぐに退色して白っぽくなる。抱卵は雄だけでする。抱卵期間は約40日。生まれた雛の世話も雄の役目で,雛は約5ヵ月で成鳥とほぼ同じ大きさになるが,成鳥になるには2~3年を要する。雛は雄について巣を離れ,雄はたえず呼び声で雛を集めているが,はぐれた雛は他の群れに加わるので,こうした群れはしばしばいろいろな年齢の個体より成り立っている。

 レア科Rheidaeには,レアとダーウィンレアPterocnemia pennataの2種が属する。後者は前者よりやや小型で,背や翼には白い小斑が散在している。ペルー南部からマゼラン海峡までのアンデス山地に分布し,フエゴ島にも移入されている。この種は卵の色が緑色である。
執筆者:


レア
Rhea

ギリシア神話で,ゼウス,ポセイドンらの母神。レイアRheiaともいい,ウラノス(〈天〉)とガイア(〈地〉)を両親とするティタン神のひとり。兄弟のクロノスの妻となって女神ヘスティア,デメテル,ヘラ,男神ハデス,ポセイドンを生んだが,クロノスがそれらの子を次々にのみこんだため,末子ゼウスの出産時には,夫を欺いてむつきにくるんだ石をのませ,ゼウスをひそかにクレタ島で育てたという。彼女は一般に小アジアの大母神キュベレと,またクロノスをみずからの農耕神サトゥルヌスと同一視したローマ人には,その妃で豊穣の女神オプスOpsと同一視された。
執筆者:

レア
Rhea

土星の第Ⅴ衛星。1672年,J.D.カッシニによって発見された。軌道半径52万7040km(土星半径の8.78倍),公転周期4.51750日。半径は764km,質量は2.49×1024g(土星の4.38×10⁻6倍)で,平均密度は1.33g/cm3と求められる。表面はクレーターの多い半球とクレーターの少ない暗い半球とにわかれる。暗い半球には多くの輝条が見られる。最大のクレーターの直径は約200kmで,クレーターの大部分に中央丘がある。
執筆者:

レア
Leah

古代イスラエルの族長ヤコブの妻。ヤコブが兄エサウの追及を逃れて身を寄せた母リベカの兄ラバンの長女。ヤコブはその妹ラケルを愛したが,ラバンの計略でベールに顔を隠したレアをめとらされた。目が弱く,妹ラケルよりも美しさに欠けたレアはヤコブの愛を得ることが少なかったが,ユダをはじめ6部族の名祖(なおや)を次々に産んだ(《創世記》29)。
執筆者:

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「レア」の意味・わかりやすい解説

レア
Rhea americana; greater rhea

レア目レア科。全長 1.3~1.4m。アメリカダチョウという別名があるように,大型では退化して飛翔力がない。体形もダチョウに似ていて頸が長く,脚も長くて頑丈だが,趾(あしゆび)は 3本(ダチョウは 2本)である。羽色はやや個体変異があるが,全体に汚れたような灰褐色。ブラジル中部からアルゼンチン中部にかけての草原やサバナ,疎林,農耕地などに生息する。繁殖は 1羽の雄が数羽の雌とつがいになって行なう。雌たちは同じ巣に卵を産み,雄が巣づくりから抱卵,育雛をする。雄が抱卵を始めると,雌はほかの雄とつがう。レア科 Rheidaeにはもう 1種ダーウィンレア Rhea pennata がいる。本種よりやや小型で全長 1m。羽色は全身灰褐色で,全体をかなり目立つ白い小斑が覆う。ペルー南部からアルゼンチン南部にかけての高地の草原に生息する。

レア
Rhea

ギリシア神話の女神。ウラノスとガイアから生れたティタンたちの一人で,兄弟のクロノスの妻となり,ヘスチア,デメーテル,ヘラ,ハデス,ポセイドンを生んだ。しかし子供に王座を奪われるであろうという予言を受けていたクロノスは彼らを次々に飲み込んだため,末子ゼウスが生れたとき,彼女は産着に大石を包んで,これを赤子と偽って,クロノスに飲み込ませておいて,ゼウスをクレタ島のイダ山中の岩屋にかくまって育てた。神々の母であることから,のちにフリュギアの大母神キュベレと同一視された。

レア
Rhea

土星衛星。1672年ジョバンニ・ドメニコ・カッシーニが発見。土星の衛星ではチタンに次ぐ大きさで直径約 1530km,光度 10等,密度 1.3。公転周期 4日12時間28分。ボイジャー1号(→ボイジャー)により,この衛星には大小さまざまな無数のクレータのあることが発見された。

レア
Leah

旧約聖書中の人物。ヤコブの妻。ハランのラバンの娘,ラケルの姉。ヤコブに愛されていたラケルより先にヤコブの妻となり,ルベン,シメオン,レビ,ユダを生んだ。彼女はまた婢女ジルパをヤコブに与え,ジルパはガド,アセルを生んだ。その後レアはイッサカル,ゼブルン,デナを得た。彼女は死後アブラハム,サラ,イサク,リベカが葬られているカナンの地マムレの東マクペラの墓地に埋葬された。ルベン,シメオン,レビ,ユダ,ガド,ゼブルン,イッサカルはラケルの子らとともにイスラエル 12部族の祖先となった (創世記 29,30,49章) 。

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百科事典マイペディア 「レア」の意味・わかりやすい解説

レア

ギリシア神話のティタン神族の一人。クロノスの妻。ヘラ,ハデス,ポセイドン,ゼウスらを産んだ。しばしば大母神キュベレ,またローマの豊穣女神オプスOpsと同一視される。
→関連項目フリュギア

レア

アメリカダチョウとも。レア科の鳥。体長90〜130cm。体高120〜170cm。形はダチョウに似るが,指は3本,体は褐色を帯びた灰色。南米に分布し,草原にすむ。一雄多雌で,5〜6羽の雌が同一の巣に15〜20個を産卵。雄が抱卵する。草やその種子を主食するが,ミミズなども食べる。アルゼンチン南部には近縁のダーウィンレアが分布。

レア

土星の第V衛星。1672年G.D.カッシニが発見。軌道半径52万7200km(土星半径の8.74倍),公転周期4.5175日。半径は765kmで,表面はクレーターの多い半球とクレーターの少ない暗い半球とにわかれ,後者には多くの輝条が見られる。

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和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典 「レア」の解説

レア【rare】

ビーフステーキの焼き加減の一つ。肉の両面をさっと焼き、内部はほとんど生の赤い状態。⇒ビーフステーキ

出典 講談社和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のレアの言及

【キュベレ】より

…豊穣多産の女神として,その若い恋人アッティスAttisとともに小アジア一帯でさかんに崇拝された。ギリシアへは前5世紀後半に伝わり,じきにゼウスの母神レアと同一視された。またローマへは,伝承によれば,第2次ポエニ戦争中の前204年,シビュラ予言書の啓示にもとづいて移入されたといい,パラティヌス丘上の神殿には,フリュギアにおける崇拝の中心地から運んだ女神の聖石が安置された。…

【ギリシア神話】より

…ウラノスの呪いとともに天界の主権は子クロノスに移る。彼は姉レアを妻としてヘラを含む3人の女神と3男神ハデス,ポセイドン,ゼウスを生む。彼らはいずれもオリュンポス十二神に数えられる。…

【クロノス】より

…ウラノスが子らを冥府タルタロスに押し込めたことを恨んだガイアから大鎌を与えられ,父神の陽物を切り落としてその王権を奪った。その後,姉のレアを妻とし,女神ヘスティア,デメテル,ヘラ,男神ハデス,ポセイドンの親となったが,わが子に王権を奪われるのを恐れた彼は,それらの子をかたっぱしから腹に飲み込んだ。しかし末子ゼウスの場合は,ひそかにクレタ島でお産をすませたレアの計略でむつきにくるんだ石を飲まされた。…

【ゼウス】より

…ローマ人によってゼウスと同一視されたユピテルJupiterも,その名はDieu pater〈父なるディエウス〉の意で,本来ゼウスと同じ神である。 神話ではゼウスはティタン神のクロノスレアの子とされ,彼が世界の覇者となった経緯が次のように語られる。父神ウラノス(〈天〉)を追放して世界の2代目の支配者となったクロノスは,姉妹のレアを妻として女神ヘスティア,デメテル,ヘラ,男神ハデス,ポセイドンをもうけたが,わが子に支配権を奪われるのを恐れて,生まれた子をつぎつぎにのみ込んだ。…

【土星】より

…粒子の密度が高いと互いに衝突して細かく砕かれるのであろう。 土星は昔から9個の衛星をもつことが知られており,Iミマス,IIエンケラドス,IIIテチス,IVディオーネ,Vレア,VIチタン,VIIヒペリオン,VIIIヤペタス,IXフェーベと呼ばれている。しかし,ボエジャーはさらに多くの衛星を発見または確認し(いくつかは地上で発見されていた),その総数は21~23となった。…

※「レア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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