ルーメリア(英語表記)Rumelia

改訂新版 世界大百科事典 「ルーメリア」の意味・わかりやすい解説

ルーメリア
Rumelia

オスマン帝国のヨーロッパ領に対して与えられた一般的呼称。また,ソフィアを都とした州の名。ビザンティン帝国の人々が,自分たちをロマイオイRhōmaioi,国土をロマニアRhōmaniaと呼んでいたことから,ムスリムはビザンティン領をビラード・アッルーム(ローマの地,すなわちアラブからみればギリシア語の世界)と呼び,それは主としてアナトリアを指していた。トルコ族がアナトリアを征服した後,13世紀ごろからヨーロッパ人がアナトリアを〈トゥルクメニア〉,すなわち〈トルコ人の国〉と呼び始めると,ロマニアはビザンティン帝国に残されたヨーロッパ領を指す言葉となった。その後,トルコ人がビザンティンのヨーロッパ領を征服すると,今度はそこをルーム・エリと呼んだ。語源はトルコ語でルームRūm(ギリシアの)とエリeli(国)の合成語ルメリに由来する。ルーメリア州は現在のブルガリア,ギリシア,アルバニアの大部分とユーゴスラビア南部とを含み,オスマン帝国属州の最重要地に数えられた。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のルーメリアの言及

【セルビア・ブルガリア戦争】より

…1885年,ブルガリアの東ルーメリア合併問題をめぐるセルビアとブルガリアの戦争。1878年のベルリン条約により,東ルーメリアはオスマン帝国政府が任命し列強が承認する知事が統治することになった。…

※「ルーメリア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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