ル・シャプリエ法(読み)るしゃぷりえほう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ル・シャプリエ法」の意味・わかりやすい解説

ル・シャプリエ法
るしゃぷりえほう

フランス革命中、1791年6月、国民議会で可決され、労働者の団結禁止を目的とした法。議員主唱者ル・シャプリエIsaac René Guy Le Chapelier(1754―94)の名でよばれるが、正式には「同一の身分職業の労働者および職人の集合に関する法」という。すでに廃止されていた同業組合再建を禁止し、同一の職業の市民が共通の利益のために集合することを禁じているが、これは、各個人の個別的利益、および全体的利益だけの存在を認め、したがって中間的利益を守る中間団体を否定する理念に基づくといわれる。続いて、集会首謀者、または集会を強要した者には罰金や公民権停止、あるいは禁錮刑を科し、脅迫暴力を伴う場合は公安を乱すものとして処罰すること、などが定められている。事業主、商店主をも対象としているが、中心は労働者であった。この法は革命後も存続し、フランスで罷業権結社権が認められたのは、19世紀後半から20世紀初頭にかけてである。

[山上正太郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ル・シャプリエ法」の意味・わかりやすい解説

ル・シャプリエ法
ル・シャプリエほう
Loi de Le Chapelier

1791年6月 14日フランスの国民議会で,I.ル・シャプリエ動議によって成立した法令。「同身分,同職業の市民によるあらゆる種類の同業組合 (コルポラシオン) を廃止することはフランス憲法の基本的根底の一つである」とし,「ある職業の市民が,いわゆる共通の利害のために結集すること」を禁じた。これは旧来ギルドを廃して営業の自由を保証するために定められたが,同時にこれによって労働者の団結,罷業騒擾はきびしく禁止された。同法は 1864年5月のナポレオン3世の団結権譲歩によって一部は緩和されたが,完全に廃止されたのは 84年の結社法 (バルデック=ルソー法) による。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ル・シャプリエ法」の解説

ル・シャプリエ法(ル・シャプリエほう)
Loi Le Chapelier

1791年6月14日フランスの国民議会の発した法律。同一職種の職人,労働者の結社,請願,賃金協定を禁じる。名称は提案者の名による。革命立法中,最も長く失効せず,1864年まで存続。

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