日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ルンゲ(Philipp Otto Runge)
るんげ
Philipp Otto Runge
(1777―1810)
ドイツの画家。ポンメルンのウォルガストに生まれる。1799~1801年コペンハーゲン、01~03年ドレスデンの各美術学校で学ぶ。ドレスデンで詩人ティークを知りロマン主義に開眼、また哲学者ベーメの著作によって神秘的な自然観を啓発される。02~03年宇宙の生成発展を象徴する『朝、昼、夕、夜』四部作の構想によってアカデミックな古典主義を離れる。03年末以降ハンブルクに定住し、力強い写実と素朴な内面性を結び付けた肖像画の制作を行う。『芸術家の両親』(1806・ハンブルク美術館)はその代表作。08年『朝』(同上)を制作し四部作の完成に着手するが、第二作の制作なかばでハンブルクに夭折(ようせつ)した。彼は色彩論の研究者として独得の色球体を考案し、またロマン主義に基づく二巻の理論書を残している。作品の多くはハンブルク美術館に所蔵されている。
[野村太郎]