ルボン(英語表記)Philippe Lebon

精選版 日本国語大辞典 「ルボン」の意味・読み・例文・類語

ル‐ボン

(Gustave Le Bon ギュスターブ━) フランス社会心理学者。群集非合理性を解明し、群集心理を社会心理学の研究分野として確立した。主著「群集心理」「フランス革命革命の心理」(一八四一‐一九三一

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改訂新版 世界大百科事典 「ルボン」の意味・わかりやすい解説

ル・ボン
Gustave Le Bon
生没年:1841-1931

フランスの社会心理学者。群集心理学を論じて,現代における社会心理学の源流の一つを担っている。もともと医者として出発したのであるが,その広範な関心に導かれて考古学人類学を遍歴し,しだいに社会心理学へとかたむいていった。彼の名を不朽ならしめたのは,なんといっても1895年の《群集心理La psychologie des foules》である。群集とは,そのなかですべての個人が意識的な人格を完全に喪失し,操縦者の暗示のままに行動するような人間集合体である。しかるに,産業革命以後のいちじるしい社会現象の特徴は,人々をますますこのような群集状況下に追いやっていることである。〈いまわれわれが歩み入ろうとしている時代は,群集の時代である〉。このような認識は,19世紀末から20世紀初めにかけてあらわれた多くの社会学的・社会心理学的思想家のそれと共通するものをもっている。ル・ボンが注目されたのはこのゆえである。ただ,今日の群集心理論は,〈大衆行動〉〈大衆運動〉をテーマとして,群集の非合理性を組織化へ向けるような過程を問題にしており,ル・ボンにみられる群集心理のマイナス面のみの評価からはぬけだしていることに注意すべきである。著作としてはこのほかに,《民族進化の心理法則》(1894),《フランス革命と革命の心理》(1912),《現代の箴言》(1913)などがある。
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ルボン
Philippe Lebon
生没年:1769-1804

フランスの化学技術者,ガス照明の先駆者。1797年木材の乾留から可燃性ガス(木ガス)の製造を試み,99年に照明用〈熱ランプ〉の特許をとった。1801年パリのオテル・セーヌリーでガス照明の公開実験をおこない,その実用価値を世に示した。シャンゼリゼで強盗に刺され不慮の死をとげた。
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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「ルボン」の解説

ルボン Revon, Michel

1867-1947 フランスの法学者。
1867年3月24日スイス生まれ。明治26年(1893)来日し,32年まで帝国大学でフランス法をおしえる。司法省法律顧問をつとめ,日本文化を研究。帰国後パリ大教授となり日本文学の紹介につとめた。1947年1月10日死去。79歳。グルノーブル大卒。著作に「日本文芸抄」。

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世界大百科事典(旧版)内のルボンの言及

【群集】より

…しかし群集のもつ政治的・社会的な力が注目され,群集そのものが注目されたのは,フランス大革命その他の近代市民革命以後である。ただし,群集についての理論を最初に展開したとされる19世紀フランスの心理学者ル・ボンGustave Le Bonは,しばしば指摘されるように貴族主義の立場から群集,とりわけ革命群集を断罪した。ル・ボンに異を唱えた同時代のフランスの社会心理学者タルドGabriel Tardeの群集観も,この点では同じで,情緒的,非合理的,残虐,付和雷同的など,群集の劣性を両者とも強調している。…

【群集】より

…しかし群集のもつ政治的・社会的な力が注目され,群集そのものが注目されたのは,フランス大革命その他の近代市民革命以後である。ただし,群集についての理論を最初に展開したとされる19世紀フランスの心理学者ル・ボンGustave Le Bonは,しばしば指摘されるように貴族主義の立場から群集,とりわけ革命群集を断罪した。ル・ボンに異を唱えた同時代のフランスの社会心理学者タルドGabriel Tardeの群集観も,この点では同じで,情緒的,非合理的,残虐,付和雷同的など,群集の劣性を両者とも強調している。…

【公衆】より

…メディアを用いたコミュニケーションで結ばれている人間集団。ル・ボンが〈現代は群集の時代だ〉と否定的に規定したのに対し,タルドが〈現代は公衆の時代だ〉と反論し,公衆を社会学,社会心理学の用語にした。タルドにおける公衆のイメージは〈拡散した群集〉であり,したがってタルドは公衆にも,群集についてと同様,情緒的・非合理的・付和雷同的などのレッテルをはっている。…

※「ルボン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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