ルトン(読み)るとん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルトン」の意味・わかりやすい解説

ルトン
るとん
lutong

哺乳(ほにゅう)綱霊長目オナガザル科コロブス亜科のうち、アジア産のラングール属ルトン亜属に含まれる動物の総称。アッサム地方以東、ボルネオ島以西に分布し、7種20亜種に分類される。体毛は黒または灰色のものが多いが、ゴールデンラングールP. geeiは全身黄金色。ダスキールトンP. obscurusとファイヤールトンP. phayreiは目と口の周囲が白くよく目だつ。新生子はオレンジ色で、生後6か月で成獣と同色になる。体長50~70センチメートル、尾長50~100センチメートルで、ほっそりとした体格をもつ。樹上性の傾向が強く、多くは多雨林の樹冠にすむが、ダスキールトンは乾燥林でもみられる。食物は木の葉が大きな比重を占め、ほぼ完全な植物食である。20頭程度の複雄群をつくる。

[川中健二]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のルトンの言及

【ラングール】より

…ほっそりとした優美な肢体と長い尾をもつのでヤセザル,食物がもっぱら葉であるところからリーフモンキーleaf‐monkeyとも呼ばれる。インド亜大陸,スリランカおよび中国南部から東南アジアにかけて広く分布し,東南アジア方面の多くの種はルトンlutongとも呼ばれている。コロブス亜科中,原始的なタイプとされ,15種に分類されるが,外見上の地理的変異が非常に多く分類には不明の部分がまだ多い。…

※「ルトン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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