ルセフ(英語表記)Rousseff, Dilma

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ルセフ」の意味・わかりやすい解説

ルセフ
Rousseff, Dilma

[生]1947.12.14. ベロオリゾンテ
ブラジルの政治家。大統領(在任 2011~16)。フルネーム Dilma Vana Rousseff。裕福な中流階級の家庭で育った。1964年に軍事政権が成立したのを機に 10代で左翼の反政府運動にかかわり始め,武闘派グループ民族解放司令部に加わり,1968年に活動家仲間と結婚(1981離婚)。各地を転々とし,1970年サンパウロで政府軍に逮捕され,破壊活動の罪で 3年間投獄された。1973年に釈放されたのち復学,1977年ポルトアレグレのリオグランデドスル連邦大学の経済学部を卒業。独裁政権が弱体化すると地方政府の幹部として,1986~88年ポルトアレグレの財務局長,1991~93年リオグランデドスル州の経済統計所長を務めた。1993~94年同州の鉱業・エネルギー・通信長官。その後ルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ率いる労働者党に入党。2003年にルラ政権が誕生すると,鉱業・エネルギー大臣として入閣し,同時にブラジルの国営石油企業ペトロブラスの会長に就任。2005年からはルラ政権の官房長官を務めた。2010年10月,ルラ大統領の後継指名を受けて大統領選挙に出馬し勝利,2011年1月ブラジル初の女性大統領となる。就任以降高い人気を誇っていたが,停滞する経済や政治腐敗,不十分な社会・教育政策に対する不満が中間層を中心に高まり,急速に求心力が低下した。2014年の大統領選挙では接戦の末に再選されたが,ペトロブラスを舞台にしたブラジル史上最悪といわれる汚職事件が発覚。また,ルセフに対して,選挙戦を有利に進めるため,財政赤字を少なく見せかけようと政府会計を不正操作した嫌疑がかけられ,2016年8月,弾劾裁判有罪となり,罷免された。

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