ルイ11世(読み)ルイじゅういっせい(英語表記)Louis XI

改訂新版 世界大百科事典 「ルイ11世」の意味・わかりやすい解説

ルイ[11世]
Louis ⅩⅠ
生没年:1423-83

バロア朝第6代のフランス王。在位1461-83年。シャルル7世の子。父王の事業を継ぎ,百年戦争後のフランスを統一,経済復興をはかり,フランス絶対王権の基礎を固めた。現実主義的政治感覚の持主で,国王顧問による伝統的宮廷政治を排し,巧妙な外交手段によって目的を達成する術に長じていた。即位以来,治世の大半は王国統一の最大敵手であるブルゴーニュ公シャルル豪胆公)との闘争に費やされ,治世当初の貴族・諸侯とシャルルの〈公益同盟Ligue du bien public〉との戦い(1465)ではしばしば譲歩を余儀なくされたものの,まもなく失地回復に成功。その後,1475-77年の間に外交的手腕を発揮して,戦わずして勝利をおさめ,シャルルをナンシーに敗死させ,ブルゴーニュ公領の大半を獲得した。そのほか,アンジューメーヌプロバンス,ルーション,セルダーニュなどを併合し,ブルターニュ公領の相続についても有効な措置をとるなど,フランスの封建諸侯領の大部分は王権の直接支配下に置かれることになった。彼は常備軍を拡充し,そのために必要な財源として税収入の増加をはかり,羊毛工業,絹織物業,鉱山業,印刷業などを奨励し,商工業育成に努めた。しかしその一方,貴族権力を圧服するとともに,コミューン自治権をも奪って,王権による統一フランスの集権化を強力に推し進めた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ルイ11世」の意味・わかりやすい解説

ルイ11世
ルイじゅういっせい
Louis XI

[生]1423.7.3. ブールジュ
[没]1483.8.30. プレッシーレツール
フランス王 (在位 1461~83) 。バロア家出身。シャルル7世の子。皇太子時代,1440年シャルル7世に反対するプラグリーに際し,反徒に加担したが失敗しドーフィネにこもった。 56年ブルゴーニュ公シャルル (豪胆公)のもとに逃れ,父王の死までそこにとどまった。即位すると父王の側近を一掃し,諸侯勢力を積極的に分断する政策をとった。ブルゴーニュ公シャルルに指導された不平貴族のいわゆる公益同盟の反乱に直面して苦境に立ち,65年コンフランおよびサンモールの両条約の締結を余儀なくされたが,枢機卿ラ・ブリュの投獄 (69) ,王弟シャルル・ド・フランスの死亡 (72) ,アルマニャック伯の処刑 (73) ,ブルゴーニュ公シャルルの戦死 (77) など,巧妙な工作,果断な処置と幸運が相まって,主要な敵対勢力を一掃し諸侯を制圧することに成功した。強権による過酷な統治であったが,同時に秩序の回復,道路治安の確保,軍隊の規律の確立,駅伝制度の創設,印刷技術の導入など王権強化政策の実績をあげ,経済の繁栄をもたらした。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ルイ11世」の解説

ルイ11世(ルイじゅういっせい)
Louis ⅩⅠ

1423~83(在位1461~83)

フランス国王。皇太子時代,父王シャルル7世に対する陰謀に加担(1440年)。登位後は国内諸侯勢力の打破に努力,彼らとの戦いに敗れて譲歩したが(65年),その後着実に地歩を回復,ブルゴーニュ公シャルル(勇胆)と争ってその死後ブルゴーニュの大部分を王領に併合,その他の諸地域をも併せて王国統一。商工業の振興,郵便制度の創設,印刷術導入などに功績,絶対王政の第一歩を始めた。

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367日誕生日大事典 「ルイ11世」の解説

ルイ11世

生年月日:1423年7月3日
フランス国王(在位1461〜83)
1483年没

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世界大百科事典(旧版)内のルイ11世の言及

【飛脚】より

…14世紀にはアビニョンの教皇庁がフィレンツェの商人にならって飛脚制度をつくり,これとイスラムの飛脚制度を参考にアラゴン王が所領の最南のバレンシア,次いでアラゴンとバルセロナに飛脚の制度を置いた。 フランスで飛脚制度を確立したのはルイ11世で,公信用に王立の制度をつくった。1464年〈リュクシーの勅令Édit de Luxies〉で飛脚の身分を保証し,臣下にも利用を許したが,その裏でこっそり検閲に利用した。…

【郵便】より

…ノーフォーク州のジェントルマンであったパストン家の書簡(1432‐1509)が多数残されており,当時の郵便事情を知る上での貴重な資料となっている。フランスでは,ルイ11世が1464年に王室用の駅逓制度を創設した。イギリスではヘンリー8世期の1516年に王の秘書官チュークBrian Tuke(?‐1545)を駅逓頭Master of the Postsに任命したことによって,本格的な駅逓制度が確立された。…

※「ルイ11世」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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