ルイコフ(英語表記)Aleksei Ivanovich Rykov

改訂新版 世界大百科事典 「ルイコフ」の意味・わかりやすい解説

ルイコフ
Aleksei Ivanovich Rykov
生没年:1881-1938

ソ連邦政治家。若くして革命運動に従事し,逮捕,流刑を繰り返す。ボリシェビキの有力な組織者となるが,メンシェビキに対して調停的な立場をとる。1917年の十月革命で内務人民委員となるが,他の社会主義政党との連立を主張して辞任。21年人民委員会議副議長,24年のレーニン死後は議長(すなわち首相)となる。ブハーリン,M.P.トムスキーらとともにいわゆる〈右派〉の最高指導者で,特に実務行政面で手腕を発揮した。28-29年スターリン派との党内闘争に敗れ,30年12月共産党政治局員を罷免,首相も解任されたが,党中央委員会にはとどまり,郵便電信人民委員をつとめた。37年党を除名され,38年第3次モスクワ裁判で死刑に処せられた。88年名誉回復された。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ルイコフ」の意味・わかりやすい解説

ルイコフ
Rykov, Aleksei Ivanovich

[生]1881.2.13. サラトフ
[没]1938.3.15. モスクワ
ソ連の共産主義指導者,政治家。カザン大学在学中,ロシア社会民主労働党入党,革命運動に従ったとの理由で退学させられ,ジュネーブで V.I.レーニンの教えを受けた。その後帰国して革命運動を行い,1905年第3回党大会 (ロンドン) で中央委員に選ばれたが帰国後捕えられた。脱獄亡命,逮捕を繰返し,17年の二月革命のときは流刑中であった。十月革命で初代内務人民委員となり,18~21年最高国民経済会議議長,21~24年人民委員会議議長代理兼労働・国防委員会議長代理,23年党政治局員。レーニンの死後,その跡を継いで人民委員会議議長となったが,新経済政策から5ヵ年計画に移る問題で N.I.ブハーリンらとともに I.スターリンに反対したため,右翼偏向と批判されて失脚。 30年 12月には政治局から追放され,38年3月右翼トロツキスト陰謀事件でブハーリンらとともに捕えられ,銃殺された。 56年名誉回復。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルイコフ」の意味・わかりやすい解説

ルイコフ
るいこふ
Алексей Иванович Рыков/Aleksey Ivanovich Rïkov
(1881―1938)

ソ連の政治家。1900年、カザン大学法学部に入り、革命運動に参加、ボリシェビキに属した。おもに国内で活動し、逮捕、流刑、逃亡を繰り返した。08~13年、ボリシェビキ内ではメンシェビキなどに対する調停派の指導者となった。17年の二月革命後は、モスクワの党活動を指導、同年の十月革命で内務人民委員となったが、他のソビエト内諸党との連立政府の組織を主張して辞任した。18年、最高国民経済会議議長。21年より人民委員会議議長代理を務め、レーニンの死(1924)後、同議長(首相)となる。実務家として理論家のブハーリンとともに右派を指導、スターリンと結んでトロツキージノビエフ、カーメネフらを追放したが、27~28年には穏健な工業化路線を唱えてスターリン派に敗れ、29年政治局員を、30年人民委員会議議長を解任された。その後、郵便電信人民委員(1931~36)の職にあったが、37年に党を除名、38年第三次モスクワ裁判で死刑に処せられた。88年、名誉回復。

[藤本和貴夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「ルイコフ」の意味・わかりやすい解説

ルイコフ

ソ連の政治家。若くして革命運動に参加。十月革命の際はボリシェビキ指導者の一人で,革命後は内務人民委員。1918年最高国民経済会議議長,1924年レーニンの後を継いで人民委員会議議長と要職を歴任した。ブハーリン,トムスキーらとともに〈右派〉の最高指導者であったが,スターリンと対立して1929年失脚,大粛清で処刑。1988年名誉回復。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

山川 世界史小辞典 改訂新版 「ルイコフ」の解説

ルイコフ
Aleksei Ivanovich Rykov

1881~1938

ソ連の政治家。1899年よりロシア社会民主労働党で活動。レーニンの死後,人民委員会議議長(首相)。ブハーリンとともに右派として批判され,1928年に失脚,のち38年に死刑。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

今日のキーワード

靡き

1 なびくこと。なびくぐあい。2 指物さしものの一。さおの先端を細く作って風にしなうようにしたもの。...

靡きの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android