日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
リード(気鳴楽器の発音体)
りーど
reed 英語
Rohrblatt ドイツ語
Blatt ドイツ語
Zunge ドイツ語
anche フランス語
ancia イタリア語
気鳴楽器の発音体の一種。舌(した)または簧(した)と訳される。葦(あし)、竹、木、金属などでつくられた弾力性に富む薄片で、おもに管楽器の歌口にはめ込んで吹奏される。リードは一般に次のように分類される。(1)打簧(だこう)beating r. オーケストラの木管楽器のリードに代表されるもので、これには、1枚のリードが管の内側やベックを小刻みにたたくようにして振動する単簧(シングルリード)と、2枚のリードが相互に打ち合うように振動する複簧(ダブルリード)とがある。クラリネット、サクソフォーン、パイプ・オルガンのリード管などは単簧の代表、オーボエ、ファゴット、篳篥(ひちりき)、チャルメラなどが複簧の代表といえる。これらの多くは葦からつくられるが、その材質や作製、調整は製作者や奏者の重要課題となっており、一般に仕上げの削りは奏者に任される。(2)自由簧(フリーリード) リードが周縁に触れずに自由に往復して振動するリード。金属製のものが多く、それ自体が発音源となるのでかならずしも管を必要としない。笙(しょう)、アコーディオン、ハーモニカ、リード・オルガンなどに応用されている。
[川口明子]