リンナ
りんな
Väinö Valtteri Linna
(1920―1992)
フィンランドの小説家。ウルヤラに生まれる。小学校卒業後、農林業、工場労働者として働きながら、ミッコ・マケラMikko Mäkeläを中心に活動が開始された文芸サークル「マケラ会」Mäkelän piiriに参加し、作品を発表した。小説家志望の若者を自伝風に描いた『目標』(1947)でデビュー。ストリンドベリ風のパッションドラマ『黒い恋』(1948)を経て、戦争文学に傑作を残した。ソビエト・フィンランド戦争下、極寒・空腹・疲労・激闘の極限状況下で、不撓(ふとう)不屈の精神・ユーモア・自己を忘れずに闘い抜く特異な兵士群を描き、人間と戦争の真実に迫った『無名戦士』(1954)で国際的名声を得た。フィンランド屈指の工業都市であり、出身地でもあるタンペレの労働者の強い抵抗意識と階級意識が反映されている。三部作『ここ北極星の下で』(1959~62)は、内戦下に赤軍に身を投じた小作人が敗北を通して人生に目覚めていく過程をリアルにユーモラスに描き、ノーベル文学賞候補になった。ドストエフスキー的な主観的農民をトルストイ的自然人思想で描いた独特な戦争小説で、1963年度北欧文学賞をも受賞した。タンペレ大学名誉教授、フィンランド・アカデミー会員でもあった。
[高橋静男・末延 淳]
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リンナ
Väinö Valtteri Linna
生没年:1920-92
フィンランドの作家。小学校卒業後,農林・工場労働者となる。《目標》(1947),《黒い恋》(1948)を経て,ソ・フィン戦争下の兵士たちを描いた《無名戦士》(1954)で国際的名声を得た。ユーモアにあふれ,雑言を発して局限状況を不屈に耐えぬく兵士を描くことによって人間と戦争の真実に迫った。土地をもたないフィンランド農民の宿命を扱った三部作《ここ北極星の下に》(1959-62)も著名。タンペレ大学名誉教授,アカデミー会員。
執筆者:高橋 静男
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リンナ
Linna, Väinö
[生]1920.12.20. ウリヤラ
[没]1992.4.21. カンガサラ
フィンランドの小説家。小学校卒業後さまざまな職業につき,1955年から作家生活に入る。 63年北欧文学賞受賞,65年にタンペレ大学名誉教授。デビュー作は小説家志望の若者の個人主義を自伝風に描いた『目標』 Päämäärä (1947) 。主著に,ベストセラーとなった『無名戦士』 Tuntematon sotilas (54) ,3部作『ここ北極星の下で』 Täällä pohjantähden alla (59~62) など。
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リンナ
フィンランドの作家。戦争小説《無名戦士》(1954年)で一躍文壇に現れ,次いで《ここ北極星の下に》の農民小説三部作(1959年―1962年)で注目された。
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世界大百科事典(旧版)内のリンナの言及
【フィンランド】より
…またパッカラTeuvo Pakkala(1862‐1925)には心理的洞察により貧困と子どもたちを扱った《子どもたち》(1895)がある。さらに[リンナンコスキ]は《真紅の花の歌》(1905)などで巧みに人間性を表出しているし,レヒトネンJoel Lehtonen(1881‐1934)は東部フィンランドの農民生活を描いている。女流作家としては[タルビオ]が才筆を振るい,[ヨトゥニ]は短編に優れている。…
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