リッピ(Filippino Lippi(1457ころ―1504))(読み)りっぴ(英語表記)Filippino Lippi

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

リッピ(Filippino Lippi(1457ころ―1504))
りっぴ
Filippino Lippi
(1457ころ―1504)

イタリアの画家。画家で修道僧のフラ・フィリッポ・リッピと修道尼ルクレチア・ブティとの間にプラートで生まれ、フィレンツェに没。初め父から絵の手ほどきを受けたが、その後、かつて父に師事したボッティチェッリの工房で修業した。彼の最初の大規模な仕事は、フィレンツェのサンタ・マリア・デル・カルミネ聖堂ブランカッチ礼拝堂にマサッチョが未完成のまま残した壁画を完成することであった。これを1484年ころには完成し、86年には代表作『聖ベルナルドの幻想』(フィレンツェ、聖ベネディクト会修道院)を制作している。この作品に示された繊細な描線と明るい色調は父親譲りのものにほかならない。彼はこれら一連の作品によって有力な後援者ロレンツォ・デ・メディチが「古代ギリシアの画家アペレスにも勝る」と賞賛したといわれるくらい、非常な名声を博した。そのほかの作品では、フィレンツェのサンタ・マリア・ノベッラ聖堂ストロッツィ礼拝堂に描いた連作『聖ピリポと聖ヨハネの物語』、ローマのサンタ・マリア・ソプラ・ミネルバ聖堂カラッファ礼拝堂を装う『聖トマス・アクィナス物語』がよく知られている。

[濱谷勝也]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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