リッター(Karl Ritter)(読み)りったー(英語表記)Karl Ritter

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

リッター(Karl Ritter)
りったー
Karl Ritter
(1779―1859)

ドイツの地理学者。ハレ、ゲッティンゲン大学卒業後、教育関係の仕事に従事していたが、1820年よりベルリン大学教授となり、フンボルトとともに近代地理学樹立に貢献した。しかし、フンボルトが自然地理学の創始者と目されるのに対して、リッター人文地理学祖述者である。1817年『地理学』Die Erdkundeを著したが、副題に「自然と人類の歴史との関連、すなわち一般比較地理学」と記されているように、リッターは地理学をもって自然と人類社会の因果関係を考察すべきことを主張。18世紀の観念論の影響を受け、地表を人類の居住の場所であるのみならず、神による人類の教育の場所とみなすなど、なお所論に神学的目的論の色彩が認められる。また比較地理学を主張するように、世界の各地域の地域的個性を比較究明するために、『地理学』の続編として22年から38年を費やして、19巻にわたる膨大な世界の地誌的記述を行ったが、アジア、アフリカ以外の地域は未完に終わった。

織田武雄

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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