リズムアンドブルース

精選版 日本国語大辞典 「リズムアンドブルース」の意味・読み・例文・類語

リズム‐アンド‐ブルース

〘名〙 (rhythm and blues) ブルースをはじめとする黒人音楽の中から生まれた黒人ポップスの総称。一九五〇~六〇年代に流行。ロックン‐ロールの母体となった。R&B。

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改訂新版 世界大百科事典 「リズムアンドブルース」の意味・わかりやすい解説

リズム・アンド・ブルース
rhythm and blues

アメリカ黒人のポピュラー音楽で,1940年代から60年ころまで行われた。略してR & Bともいう。中心となるのは,ブルース電気楽器を導入してビートを強調し,ジャズゴスペル・ソング要素を取り入れたものであるが,ドゥー・ワップdoo-wopと呼ばれる軽いビートをもつ小編成コーラスや,ソロ歌手による甘いラブ・バラードなども含む,かなり広がりのある言葉。60年代,さらに洗練されたソウル・ミュージックに引き継がれ,この言葉は使われなくなった。
ロック
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世界大百科事典(旧版)内のリズムアンドブルースの言及

【ジャズ】より

…40年代アメリカの黒人にとって,20年以上昔の同胞の音楽は,すでに共感の埒外(らちがい)にあったのだ。一般黒人大衆は,カンザス・シティを中心とする中西部の黒人ジャズ・メンがもたらしてニューヨークのハーレムに定着させた,リズム・アンド・ブルース(古典的な田舎のブルースを,より洗練させリズムを強調した現代的ブルース)に共感をおぼえていた。ジャズを志すプレーヤーは,ことごとくバップに向きを変え,古老たちの博物館的ニューオーリンズ・スタイルにはきっぱりと背を向けたのである。…

【ソウル・ミュージック】より

…1960年代を頂点とする,アメリカ黒人の現代的な大衆音楽。第2次世界大戦直後に興ったリズム・アンド・ブルースが,ゴスペル・ソング,ジャズ,白人のポピュラー音楽などの影響をうけ,ワシントン大行進(1963)に象徴される公民権運動の高まりにも刺激されて,黒人の感性を洗練されたサウンドで表現する音楽形態として発展した。これをそれ以前のリズム・アンド・ブルースと区別して,ソウル・ミュージックと呼ぶ。…

【ブルース】より

…ブルース自体はジャズの支持層よりもさらに底辺の黒人社会でダンス音楽として機能し続け,ブギウギを派生させるなど,民俗音楽から商業音楽へと性格を変えていった(社交ダンスでいう〈ブルース〉はスロー・フォックストロットのことであり,本来のブルースとは関係がない)。 南部農村から北部,東部,西部の工業地帯へ黒人労働力の移動に伴って,ブルースの基盤も都市ゲットーに重点を移し,1930年代からピアノ,ドラムスを導入してグループないしバンドの形で演奏されることが多くなり,第2次世界大戦のころには電気ギターを使うようになって,リズム・アンド・ブルースを生み,ロックの成立を促した。60年代以降,黒人大衆の社会生活や意識が大きく変わる中で,彼らにとってブルースのもっていた役割は小さくなりつつあるようである。…

【ポピュラー音楽】より


[アメリカのポピュラー音楽]
 アメリカがポピュラー音楽の一つの中心地であることは広く認められているとおりだが,この国はかつて南部に多数の黒人奴隷を抱えていた特殊事情により,先進国型と植民地型の両方のポピュラー音楽をもつこととなる。前者は,ニューヨークの音楽業界が資本主義的生産様式に従って作り出すポピュラー・ソングとブロードウェー・ミュージカル(ミュージカル),つまりアメリカでよく使われる言葉でいえば〈メーンストリーム(主流)〉音楽であり,後者は,ローカルなセミプロ的ミュージシャンが民族的基盤から生み出したブルース,ラグタイム,ジャズ,リズム・アンド・ブルース,ロックンロールなどである。上記の2種は,白人系音楽と黒人系音楽にそれぞれ当てはまるものではない。…

【ロック】より


[ロックの誕生]
 ロックを生み出す源となった音楽を,三つ挙げることができる。リズム・アンド・ブルースカントリー・ミュージック,そしてポピュラー・ソングである。なかでもリズム・アンド・ブルースは決定的な影響を与えており,前述した偶数拍にアクセントをもつロックの基本的なビートも,そこにしばしば3連音符やシャッフル・ビートを導入してリズム感覚に味わいを加えているのも,叫ぶような歌い方やエレクトリック・ギターを激しくかき鳴らすことで緊張感を高めているのも,すべてリズム・アンド・ブルースから受け継いだ手法だとみてよい。…

※「リズムアンドブルース」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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