リグリア人(読み)リグリアじん(英語表記)Ligures

改訂新版 世界大百科事典 「リグリア人」の意味・わかりやすい解説

リグリア人 (リグリアじん)
Ligures

ケルト化する以前のガリア先住民族ローヌ川からアルノ川までの地中海沿岸と,ポー川南方の内陸山岳地帯にかけて居住していたが,まずケルト人到来により,前3世紀以降はローマ征服により,その居住域は縮小した。西方リグリア人はしだいにケルト化され,マッシリア(現,マルセイユ)は隣接する〈ケルト・リグリア人〉に脅やかされて前154年と前125年にローマに援助を要請。前125年の援助要請はローマの属州設置という結果を招いた。史料には短軀で強健・勇猛な民,傭兵,また山賊として現れている。ある種の接尾辞に終わる単語や地名リグリア語が残っているといわれるが詳細は不明で,民族系統についても確言できない。リグリアの名は現イタリアの州名として残っている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リグリア人」の意味・わかりやすい解説

リグリア人
リグリアじん
Ligurii

先史時代からスペイン,イタリア北西部にかけて居住していた先住民族。ギリシアの植民者によって知られ,頑健,勇猛な民族とされた。初期鉄器文明を残しているが,その起源の詳細は不明。ケルト人接触,融合して,ローマをしばしば悩まし,ポエニ戦争に際してはカルタゴ側についた。ガリア南部からエトルリアに広がったが,前 117年頃にはローマに服属し,リグリアと呼ぶ行政区が皇帝アウグスツス (在位前 27~後 14) のとき設置された。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のリグリア人の言及

【リグリア[州]】より

…東リビエラのポルトフィーノ,セストリ・レバンテ,西リビエラのアルベンガ,サン・レモなどが観光地として有名である。 リグリアの名の起源となったリグリア人が住んでいたこの地方は,紀元前2世紀にローマの支配に入り,中世初期にはランゴバルド族に征服され,イスラム教徒の襲撃にさらされた。12世紀以後,ジェノバ共和国がこの地方のヘゲモニーを握った。…

※「リグリア人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android