ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラ・トゥール」の意味・わかりやすい解説
ラ・トゥール
La Tour, Georges de
[没]1652.1.30. リュネビル
フランスの画家。その生涯についてはあまり知られていないが,同時代のロレーヌ地方の画家とは交遊があったと考えられる。ろうそくの光による夜の作品を得意とし,古典的な静けさのなかにも,形の単純化や色彩などから現代絵画に近い明確さや個性がみられる。宗教的主題の作品が多い。息子エチエンヌも画家で父親とよく似た作品を描き,両者の絵は近年まで混同されることが多かった。作品は寡作で,確かなものはわずか 21点しかない。主要作品『キリスト生誕図』 (レンヌ美術館) ,『ヨブ』 (エピナール,ボージュ県立美術館) ,『女占い師』 (ニューヨーク,メトロポリタン美術館) 。
ラ・トゥール
La Tour, Maurice-Quentin de
[没]1788.2.17. サンカンタン
フランスの画家。パステル画の創始者で,主としてパステルによる肖像画を描いた。パリでフランドルの画家 J.スポエドに師事。ランス,カンブレー,イギリス各地を旅行し,1727年頃パリに定住。 37年に『ブーシェ夫人像』『笑う画家』をサロンに出品して名声を得た。 46年にアカデミー会員,51年に同評議員となり,50年以降王室の肖像画家として仕えた。 150点以上の肖像画を残したが,主要作品は『ポンパドゥール夫人』 (1756) ほか,ルソー,ボルテール,ルイ 15世などの肖像画。
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