ラ・トゥール(英語表記)La Tour, Georges de

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラ・トゥール」の意味・わかりやすい解説

ラ・トゥール
La Tour, Georges de

[生]1593.3.19. ビック
[没]1652.1.30. リュネビル
フランス画家。その生涯についてはあまり知られていないが,同時代のロレーヌ地方の画家とは交遊があったと考えられる。ろうそくの光による夜の作品を得意とし,古典的な静けさのなかにも,形の単純化や色彩などから現代絵画に近い明確さや個性がみられる。宗教的主題の作品が多い。息子エチエンヌも画家で父親とよく似た作品を描き,両者の絵は近年まで混同されることが多かった。作品は寡作で,確かなものはわずか 21点しかない。主要作品『キリスト生誕図』 (レンヌ美術館) ,『ヨブ』 (エピナール,ボージュ県立美術館) ,『女占い師』 (ニューヨークメトロポリタン美術館) 。

ラ・トゥール
La Tour, Maurice-Quentin de

[生]1704.9.5. サンカンタン
[没]1788.2.17. サンカンタン
ランスの画家。パステル画の創始者で,主としてパステルによる肖像画を描いた。パリフランドルの画家 J.スポエドに師事。ランス,カンブレー,イギリス各地を旅行し,1727年頃パリに定住。 37年に『ブーシェ夫人像』『笑う画家』をサロンに出品して名声を得た。 46年にアカデミー会員,51年に同評議員となり,50年以降王室の肖像画家として仕えた。 150点以上の肖像画を残したが,主要作品は『ポンパドゥール夫人』 (1756) ほか,ルソー,ボルテール,ルイ 15世などの肖像画。

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百科事典マイペディア 「ラ・トゥール」の意味・わかりやすい解説

ラ・トゥール

フランスの画家。ロレーヌ地方のビク・シュル・セイユに生まれ,一時イタリアに滞在したほかはもっぱら同地で活動。明快な形態把握とカラバッジョ風の鋭い明暗対比とにより,独特の情感と静けさをたたえた夜の光景を好んで描いたが,現在確実に真筆と認められているものは少ない。代表作に《大工のヨセフ》(1640年ころ,ルーブル美術館蔵),《悔悛するマグダラのマリア》(1640年ころ,ニューヨーク,メトロポリタン美術館蔵)などがある。

ラ・トゥール

フランスの画家。エーヌ県サン・カンタン生れ。もっぱらパステルによる肖像画を制作,繊細な心理描写で名声を博し,1746年アカデミー会員,1750年,王室画家となった。代表作は《読書するユベール師》(1742年,ジュネーブ,歴史美術館蔵),《ポンパドゥール夫人像》(1755年,ルーブル美術館蔵)など。

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