ランドフスカ

精選版 日本国語大辞典 「ランドフスカ」の意味・読み・例文・類語

ランドフスカ

(Wanda Landowska ワンダ━) ポーランド出身の女流ハープシコード奏者。ドイツ、のちフランスで演奏活動や教育従事。一九四一年アメリカに移住。(一八七九‐一九五九

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

百科事典マイペディア 「ランドフスカ」の意味・わかりやすい解説

ランドフスカ

ポーランド出身の女性ハープシコード奏者,ピアノ奏者。18世紀末以来忘れられた楽器となっていたハープシコード復興に力を注ぎ,20世紀の〈バッハ・ルネサンス〉に大きな役割を果たした名演奏家。生地ワルシャワ音楽院でピアノを,ベルリン作曲を学ぶ。1900年パリへ移住し,スコラ・カントルム教鞭(きょうべん)をとる一方ハープシコードと17−18世紀の音楽の研究に打ち込む。1903年ハープシコード奏者としての活動を開始。1909年,著書古楽》を刊行。1912年にはフランスの楽器メーカー,プレイエル社に指示し,響きの豊かな大型のハープシコードを製作。1913年−1919年ベルリン高等音楽学校で初代ハープシコード教授を務め,1925年パリ郊外にハープシコード教育のための音楽学校を創立。1941年に渡米し,以後米国に暮らした。その音楽観と演奏様式は今日の古楽演奏家のそれとは大きく隔るものだったが,ハープシコードとその数多くのレパートリーを現代によみがえらせた功績は大きい。ハープシコードによるバロック音楽のほか,ピアノによるモーツァルトの名演も録音に残されている。ファリャの《ハープシコード協奏曲》,プーランクの《田園合奏》などの名曲がランドフスカに献呈された。→カークパトリック古楽

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

改訂新版 世界大百科事典 「ランドフスカ」の意味・わかりやすい解説

ランドフスカ
Wanda Landowska
生没年:1879-1959

ポーランド出身の女流ハープシコード奏者。ハープシコードの復興に決定的な役割を演じた先覚者。ワルシャワ音楽院でピアノを,次いでベルリンに留学して作曲を学ぶ。1900年パリに移り,ハープシコードに心を引かれて研究し,03年パリでこの楽器による公開演奏会を開いた。以後ハープシコードの普及に力を注ぐ。13-19年ベルリン高等音楽学校のハープシコードの初代教授。25年パリ郊外にハープシコード教育のための音楽学校を創立。41年アメリカに移住。プレイエル社に性能のよい響きの豊かなハープシコードを作らせ,それを使用して,華麗でたくましい演奏を繰り広げた。それは,かつて存在していたハープシコードとその音楽とは異なるとはいえ,彼女の努力がハープシコードをよみがえらせたのであり,功績は非常に大きい。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ランドフスカ」の意味・わかりやすい解説

ランドフスカ
らんどふすか
Wanda Landowska
(1879―1959)

ポーランド出身のハープシコード(チェンバロ)奏者。生地のワルシャワ音楽院で学ぶ。1900~13年パリに住み、教育活動と古い音楽の演奏に力を注ぐ。13~19年ベルリンでハープシコードを教え、その後はふたたびパリで古い音楽の演奏、解釈を指導した。41年にアメリカに移住し、コネティカット州レークビルで没した。彼女は、当時ほとんど忘れられていたハープシコードの復興に尽力、ホールでの公開演奏が可能な豊かな音量の楽器の製作を推進するとともに、バッハやその周辺の音楽を、ピアノではなくハープシコードで演奏する意味を、演奏、教育、執筆活動を通じて説き続けた。またファリャ、プーランクらが、ハープシコード協奏曲を彼女のために作曲している。

[美山良夫]

『D・レストウ編、鍋島元子・大島かおり訳『ランドフスカ音楽論集』(1981・みすず書房)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ランドフスカ」の意味・わかりやすい解説

ランドフスカ
Landowska, Wanda (Louise)

[生]1879.7.5. ワルシャワ
[没]1959.8.16. コネティカット,レークビル
ポーランドのチェンバロ奏者。ワルシャワとベルリンでピアノと作曲を学んだ。 1900年パリに行き,17~18世紀の音楽とチェンバロを研究。チェンバロ奏者として演奏活動をするとともに,ベルリン高等音楽院に新設されたチェンバロ科主任教授として弟子を育成。 25年にはパリ郊外サンルラフォレに古典音楽学校を創設した。 41年以降はアメリカに定住。バッハの研究家として知られ,著書に民俗学者であった夫 H.ルーとの共著『古典音楽』 Musique ancienne (1909) がある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android