日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ランソン(Gustave Lanson)
らんそん
Gustave Lanson
(1857―1934)
フランスの文学史家。パリ大学教授。オルレアンに生まれる。高等師範学校(エコール・ノルマル・シュペリュール)校長。「ランソン的方法」とよばれる該博・綿密な実証的文学研究法を開拓、数多くの俊秀を育てて一大学派をなした。作家・作品を評価するための主観的な「批評」と、歴史的事実追究のための「文学史」を峻別(しゅんべつ)して、後者を純粋に客観的な科学として成立させようとするのが彼の基本的な考えである。主著に、名著の誉れの高い『フランス文学史』(1894)のほか、『近代フランス文学書誌』(1914)、『モンテーニュの「随想録」』(1929)、没後、主要論文を収録した『文学試論集』(1965)などがある。
[小林路易]
『佐藤正彰訳『文学史の方法』(1939・白水社)』▽『ランソン他著、有永弘人他訳『フランス文学史』三冊(1954~63・中央公論社)』