ラング(Dorothea Lange)(読み)らんぐ(英語表記)Dorothea Lange

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ラング(Dorothea Lange)
らんぐ
Dorothea Lange
(1895―1965)

アメリカの女流写真家。ニューヨークのアーノルド・ゲンスのスタジオで写真を学び、ついでクラレンス・ホワイトに師事、1919年にはカリフォルニアで開業する。しかし、スタジオでの営業写真に飽き足らず、30年代からは社会に目を転じ、35年、ロイ・ストライカーが組織した政府の農政安定局(FSA)の記録事業にW・エバンズやベン・シャーンらとともに加わって、大恐慌後の不況で置き去りにされた農民の生活を、ヒューマニズムにあふれたカメラ・アイで記録した。FSA事業終了後も同種ドキュメントを続け、夫のポール・テーラーと共著で『出アメリカ記――侵食される人類の記録』(1939)を出版、女性のしなやかで強靭(きょうじん)なまなざしによってヒューマニズムを叫び続けた。

[平木 収]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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