ラベリ(英語表記)Jorge Lavelli

改訂新版 世界大百科事典 「ラベリ」の意味・わかりやすい解説

ラベリ
Jorge Lavelli
生没年:1931-

アルゼンチン生れの演出家。同国生れのV.ガルシアやサバリらとともにいわゆるネオ・バロックを代表し,おもにフランスで活躍している。ブエノス・アイレスの大学では経済学を専攻したが,アマチュア演劇に夢中になり,60年奨学金でパリのテアトル・デ・ナシヨン付属大学に留学。63年ゴンブロービチ作《結婚》で若者劇団コンクールに優勝。67年モンパルナス・ガストン・バティ座のアラバル作《建築家とアッシリア皇帝》とオデオン座のセネカ作《メデア》の演出で若手演出家としての地位を確立。69年テアトル・ド・パリのパニッツァ作《愛の教義会》では堕落した教皇庁の乱痴気騒ぎを描いてスキャンダルを起こした。イヨネスコ(《殺戮ゲーム》1970)なども演出しているが,彼の本領はフェンテス,ピンターなどの外国作家の上演に発揮され,緻密な計算で独特の幻想的舞台を創り上げる。オペラの演出(グノー作曲《ファウスト》。オペラ座,1975年など)にも多彩な才能を示している。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラベリ」の意味・わかりやすい解説

ラベリ
らべり
Jorge Lavelli
(1931― )

アルゼンチン出身の演出家。ブエノス・アイレス生まれ。本国では経済学を学ぶが演劇に身を投じ、1960年パリのテアトル・デ・ナシオン付属大学に留学。V・ガルシア、J・サバリなどとともに、スペインの劇作家アラバールを中心に「ネオバロック派」を結成。アラバール作『建築家とアッシリア皇帝』(1967)やセネカ作『メディア』の演出(1967)などで一躍有名となり、オスカル・パニッツア作『愛の教義会』(1969)ではローマ教皇庁腐敗を暴く大胆な演出で一大スキャンダルを引き起こした。75年以来『イドメネオ』『ファウスト』などオペラの演出にも進出している。

[利光哲夫

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