改訂新版 世界大百科事典 「ラトケ」の意味・わかりやすい解説
ラトケ
Johann Wolfgang Ratke
生没年:1571-1635
17世紀ドイツに輩出した教育学者の代表の一人。北ドイツに生まれる。言語教育の改革から出発し,教育全般の改革にとりくむ。当時のドイツの分裂と武力による抗争状態を憂え,言語と政府と宗教を統一することによる平和な社会の実現を願った。実験的な学校の新設,教科書の編集などに力をつくしたが,いずれも志どおりには運ばなかった。自然の秩序に合致した教育方法を説き,教育における方法の固有の価値を認めた最初の人と評される。まず母国語で教えること,すべて強制しないこと,理解なしに暗記させないこと,個々の実験を通して学びとらせることなど今日では常識となっている教授原則を確立し,つづくJ.A.コメニウスの体系的教授学成立の下地をつくった。
執筆者:宮沢 康人
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報