ラティフンディオ(読み)らてぃふんでぃお

山川 世界史小辞典 改訂新版 「ラティフンディオ」の解説

ラティフンディオ
latifundio

スペイン南部の特にアンダルシア地方にみられる大土地所有制度。13世紀にレコンキスタが南部で急展開した際の土地分配で発生。のちに購入や横領による土地集積で拡大し,特に19世紀に教会自治体所有地が売却された際に顕著に拡大。粗放的経営ゆえに「南部問題」の元凶とされつつも,日雇い農民を廉価な労働力として用いて一定の収益性と構造的持続性を維持してきた。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のラティフンディオの言及

【アシエンダ】より

…かつてスペインが支配していた地域における伝統的な大農園をいう。
[ラテン・アメリカ]
 ラテン・アメリカにおける極端な所得格差や貧困の大きな原因は,ラティフンディオlatifundio(大土地所有)の存在にあるが,この大土地所有は一般に大規模な輸出向け商品生産を行うプランテーション型と伝統的なアシエンダ型に分けられる(ブラジルについては〈ファゼンダ〉参照)。アシエンダの特徴は,(1)国内・地域市場向け商品生産と自給生産の並存,(2)資本・技術の欠如,(3)土地の低利用,生産の非能率,(4)間接経営部門(地主―小作関係)の存在,(5)原住民共同体への労働力依存,(6)地主の家父長的支配,があげられる。…

【ファゼンダ】より

…主生産物名をつけてコーヒー・ファゼンダfazenda do caféとか牧牛ファゼンダfazenda de gadoなどと呼ぶ。大土地所有地という意味でラティフンディオと同義でもある。 ブラジルでは,歴史的に植民地制度下における分与地セズマリアに由来するものが多く,時代,地域によりいくぶん性格を異にする三つの類型に分けることができる。…

【ラテン・アメリカ】より

…極端な自由化の結果,経済政策の選択の幅が狭まっており,選挙で新たな政権が登場しても,経済・社会政策にはほとんど変化がない状況が続いているために,民主主義は空洞化したという声も出ている。【恒川 恵市】
【土地制度】

[大土地所有制成立の歴史]
 ラテン・アメリカの農業構造は,一般に,輸出農畜産物のモノカルチャー(単一耕作)と,その基礎となる大土地所有制度ラティフンディオによって特徴づけられる。しかし,ラテン・アメリカ地域は,15世紀以来,おもにスペイン,ポルトガルなどの諸国の植民地支配下におかれた歴史をもち,文化的,社会経済的に一様性をもつものの,ラテン・アメリカと呼称されるにしても,植民地支配を受ける以前における先住民の土地占有の型の差およびその後の植民者の土地および先住民インディオの労働の支配の型の差異によって,現実には地域的多様性を包含している。…

※「ラティフンディオ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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