ラグビー(英語表記)rugby

精選版 日本国語大辞典 「ラグビー」の意味・読み・例文・類語

ラグビー

〘名〙 (Rugby) 球技の一つ。一五人ずつ二組が楕円形のボールを相手のゴールライン内の地面にボールをつけるか、またはペナルティキック・ドロップキックなどによって得点を争う球技。ボールは蹴るだけでなく、持って走ることができる。7人制も競技として行なわれる。ラグビーフットボール。ラ式蹴球。《季・冬》 〔音引正解近代新用語辞典(1928)〕
[補注]一八二三年、英国ラグビー校の生徒W=エリスが、フットボールのルールを無視してボールをかかえてゴールに走りこんだプレーに起源を持つとされる。しかし、当時はサッカー、ラグビーを含めたフットボールに統一的なルールはなかった。競技ルールを統一していく過程で分裂し、サッカーは一八六三年にラグビーは一八七一年にそれぞれ別個のスポーツとして確立された。

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デジタル大辞泉 「ラグビー」の意味・読み・例文・類語

ラグビー(rugby)

フットボールの一種。15人ずつの2チームが、一定の規則のもとに、楕円形のボールを奪い合い、相手のゴールライン内の地面にボールをつけるか(トライ)、またはペナルティーキックドロップキックなどによって得点を争う競技。英国のラグビースクールの学生がフットボールの試合中に、ルールを無視してボールを抱えて走り込んだところから、1823年に始まったものといわれる。ラ式蹴球。ラグビーフットボール。闘球。 冬》「―や青雲一抹あれば足る/草田男
[補説]得点の種類と点数
トライ5点
ペナルティートライ5点
コンバージョンゴール2点
ペナルティーゴール3点
ドロップゴール3点

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改訂新版 世界大百科事典 「ラグビー」の意味・わかりやすい解説

ラグビー
rugby

球技の一種。正称は〈ラグビーフットボールrugby football〉というが,とくにアマチュアのラグビーは〈ユニオンラグビーunion rugby〉と呼ばれ15人制(7人制のセブン・ア・サイドもある),プロフェッショナルのラグビーは〈リーグラグビーleague rugby〉と呼ばれ13人制である。ラグビー創始以前のフットボールについては〈サッカー〉の項を参照されたい。

イギリスのパブリック・スクール(とくにイートン,ハロー,ラグビー,ウィンチェスター)では,教育の一環として各校独特のルールでフットボールが盛んに行われていた。1823年ラグビー校における試合中,W.W.エリスが興奮のあまり規則と慣習に反し,ボールを腕に抱えて走ったことが契機となって,ラグビーゲームが創始されたといわれる。また一説には,エリスは興奮のあまりボールを抱えて走ったのではなく,故郷アイルランドのゲーリックフットボールgaelic footballのプレーをそのまま行ったにすぎないともいわれる(ラグビーの起源についてはその他の説もある)。そののち学生間に急速に普及し,クラブが多数設立され対抗試合が盛んになると,規則の統一が必要となり,足だけを使うサッカーを愛好するものは71年にフットボール協会Football Associationを結成し,手も足も使うラグビーを愛好するものは71年にラグビーフットボール・ユニオンをイングランドで結成した。ラグビーフットボールの名称は,そのさい全面的にラグビー校のフットボールの規則を基準として採用したことに由来する。ついで72年にスコットランド,79年アイルランド,80年ウェールズに協会が設立され,87年プリンス・オブ・ウェールズ(のちのエドワード7世)がイギリスのラグビー協会総裁となったことにより,ラグビーはイギリスの国技としての基礎を固めた。1906年フランスが国際試合に参加,ニュージーランド,南アフリカなどにも組織が結成された。国際交流試合が盛んになると種々の問題が生じるようになり,こうした問題解決のため,1886年〈国際ラグビーフットボール評議会International Rugby Football Board〉(通称インターナショナル・ボード。1997年〈国際ラグビー評議会International Rugby Board〉となる)が結成され,規則の構成および規則の解釈の確立,国際試合で生じたあらゆる問題の提訴および疑義の解決などにあたることとなった。現在はイングランド,スコットランド,アイルランド,ウェールズ,フランス,オーストラリア,ニュージーランド,南アフリカ共和国の8ヵ国(地域を含む)にアルゼンチン,カナダ,イタリア,日本を加えた12ヵ国(地域を含む)による理事会を中心に運営されている。これらの国以外にもヨーロッパではルーマニアをはじめベルギー,スイス,ドイツ,ロシアなど多くの国々で競技が行われている。アジアでは韓国,香港(ホンコン),タイ,シンガポール,台湾,スリランカ,中国などに普及,1968年にはアジア・ユニオンが結成され,69年からアジア選手権が開催されている。このほかオセアニア地域ではフィジー,トンガ,サモアなど,南北アメリカ大陸ではアメリカ,ブラジルなどが国際ラグビー評議会に加盟している。現在,世界で加盟する国・地域の数は約100にのぼる。

 1987年に初めての世界選手権(第1回ワールドカップ)がニュージーランドとオーストラリアで開催され,以後4年に一度,ラグビー世界一の座が争われている。一方,女子も90年に世界大会が開かれ,現在では国際大会が盛んに行われている。またワールドカップの成功などにより,プロ契約を求めてリーグラグビーへ移籍する選手が続出するなど,アマチュアリズムの精神が大きく揺らぎ,ついに95年にはアマチュア規定の削除が決定された。

 日本では,慶応義塾に赴任したクラークEdward B.Clark(1874-1934)とケンブリッジ大学の留学から帰国した田中銀之助(1873-1943)が,1899年慶応の塾生に指導したのが始まりである。当初慶応は,それ以前からあった横浜や神戸の外人クラブと対戦したが,1910年第三高等学校,11年には同志社にラグビー部ができ,3校の定期戦が日本のラグビーの草分けとなった。大正期には旧制高校や大学を中心に盛んになり,22年の早慶戦をはじめ対抗戦が定期的に組まれるようになった。海外との交流は,25年慶応大学の上海(シヤンハイ)遠征に始まるが,第2次大戦後はオックスフォード大学,ケンブリッジ大学,ニュージーランドやイングランド,ウェールズ,フランス,スコットランド,アメリカ,アイルランドなどからもチームを招き,あるいは遠征して毎年国際試合を行っている。68年全日本がニュージーランドのオールブラックス・ジュニアを破り,83年にはウェールズに善戦するなど,国際的にも実力を向上しつつある。国内では全国大学選手権大会,全国社会人大会,全国高校大会などが行われ,大学と社会人(クラブチームを含む)の8チームのトーナメントによって日本選手権が争われる。97年現在,日本ラグビーフットボール協会(1926年創立)への加盟チームは4900を突破している。

競技場は縦144m以内,横70m以内の長方形に地面を区画して,図のように,ゴールライン,ハーフウェーライン,22メートルライン,デッドボールライン,10メートルライン,5メートルラインおよびタッチラインの各線をもって区画する。ゴールポストはゴールライン中央に,5.6mの間隔をおいて,高さ3.4m以上の2本の棒柱を立て,地面から3mのところに横木(クロスバー)を渡す。ボールは図のような規格の4枚張り,楕円形のもの,重さは400~440g。泥がつかず,つかみやすいように特別に加工してもよく,外側が皮でなくてもよい。服装はふつうジャージー,パンツ,ストッキングに革(またはゴム,アルミニウム,承認された合成樹脂)の鋲(びょう)を打ったラグビー用の靴をはき,他の競技者に危険をおよぼすようなものを身につけてはならない。

それぞれ15名からなる2チームによってボールを奪い合い,相手のインゴールにトライあるいはゴールし合う。この目的を達成するために創始以来種々のフォーメーションが考えられたが,現在は8人のフォーワード(FW)と7人のバックス(BK)に分かれる。フォワードはフロントロー(第1列),セカンドロー(第2列),サードロー(第3列)の3列に編成され,バックスはハーフバック(HB)2人,スリークオーターバック(TB)4人,フルバック(FB)1人で構成されるのが通例で,試合時間は80分以内で,前半と後半の間に10分間のハーフタイムがある。まずトス(日本ではじゃん拳が使われる)でキックオフ(相手陣にボールをける)とサイドを決め,キックオフにより試合が始まる。得点があれば得点された側が,また後半にはサイドをかえ前半と逆のチームのキックオフで試合を再開する。ボールがタッチラインの外に出たときはラインアウトとなり,両チーム2名以上のプレーヤーが,5メートルラインの内側に双方1mの間隔をとってタッチラインと直角に並び,ボールを外に出した相手側のプレーヤーが投げ入れる。ボールがデッドボールラインを越えるかタッチインゴールに入ったとき,または攻撃側がインゴールに入れたボールを防御側が地面につけたときはドロップアウトとなり,22メートルライン内からドロップキックによって試合を再開する。得点は相手側インゴールに適法にボールをつけるとトライ(T)となり5点,トライ後ボールをつけた地点とタッチラインの平行線上からゴールキックを行う権利が与えられ,ボールがクロスバーを越えればゴール(G)となり,さらに2点が加えられて計7点となる。相手側の反則で得たペナルティキックがクロスバーを越えて入った場合をペナルティゴール(PG),プレー続行中に保持したボールをゴールポストに向かってけり,ボールがクロスバーを越えて入った場合をドロップゴール(DG)といい,それぞれ3点となる。PGはプレースキックでもドロップキックでもよいが,DGはかならずドロップキックでなければならない。こうして試合終了(ノーサイドという)までに多く得点したチームが勝ちとなるが,同点でも延長は行わない。

 プレーヤーは手でボールを持って走り,自分よりうしろのものにパスし,あるいはキックやドリブルで前進する。相手の攻撃を防ぐには,キックやドリブルされたボールをとったり,相手のパスをインターセプトするほか,ボールを持った相手をタックルして倒したり,地上のボールを倒れこんでかかえるセービングなどがある。タックル,セービングのあとは,通常両チームそれぞれ1人以上のプレーヤーが密集して地面にあるボールを奪い合うが,この状態をラックruckという。ラックが構成されれば,ボールを手で扱ってはならない。タックルされたプレーヤーが倒れずにボールをキープし,両チームのプレーヤーが身体を密着させてボールを奪い合う状態をモールmaulといい,ラック,モールが膠着(こうちゃく)した場合,レフェリーはスクラムscrummageを命じる。プレー中の反則については,重い反則にはペナルティーキック,やや重い反則にはフリーキックが相手側に与えられる。軽い反則にはスクラムが科せられ,反則を犯した相手側のチームのプレーヤーがボールを入れて試合を再開する。競技中に反則があっても,反則しなかったチームが利益を得る場合,アドバンテージルールが適用され,レフェリーは笛を吹かずそのまま試合を続行させる。競技時間,得点,規則の適用および判定は1人のレフェリーによって裁定され,2人のタッチジャッジがこれを補佐する。とくに重大な反則や非紳士的態度のあったときそのプレーヤーを退場させたり,試合続行が不可能と判断したとき中止することもレフェリーの権限である。試合中に負傷者が出た場合や,戦術的な選手の交代は6名まで認められる。また特別ルールとして退場に準ずるシンビン(不正なプレーをしたプレーヤーに10分間の一時的退出措置)が適用される。

ラグビーが普及するに伴い,とくにイギリス近代産業の発祥地であるヨークシャー地方では工場労働者のあいだで盛んに行われるようになり,1880年ころから日給労働者が試合のために失う金銭を他の名目で給与する傾向がふえてきた。こうした金銭給与問題をめぐりラグビーフットボール・ユニオンは何度も論議を重ねた結果,〈いかなる形式においても金銭を給与することを禁ずる〉という裁決をくだしたため,95年ついにイングランド北部協会はラグビーフットボール・ユニオンから脱退し,北部ラグビーフットボール・ユニオンを結成した。その後名称を〈リーグラグビー〉としてイギリスやフランスで発展した。

ラグビーのコラム・用語解説

【ラグビーの用語】

アップアンドアンダー up and under
高いキックをまっすぐ前方にあげること。ボールの滞空時間を利用して,ボールを受けようとする相手に接近し,タックルで攻撃する戦法を〈アップ・アンド・アンダー戦法〉という。
アンウィルフルオフサイド unwillful off side
アクシデンタルオフサイドともいう。ボールを持ったプレーヤーが,故意ではなく前方にいる味方に接触すること。その地点で相手側ボールのスクラム。
オーバーザトップ over the top
モールやラックで相手側に倒れこんでボールが出るのを妨害すること。相手側にペナルティキックが与えられる。
オフサイド off side
プレーヤーが競技のできない位置にあること。たとえばボールの位置より前方にいるプレーヤーは,オフサイドの位置にいることになる。オフサイドにいるプレーヤーがプレーしたり,相手側の妨害をすると反則になり,相手側にペナルティキックが与えられる。
キャリーバック carry back
防御側がフィールドオブプレーより自陣インゴールに入れたボールを地面につけること。攻撃側ボールの5メートルスクラム。
5メートルスクラム five meters scrum
ゴールラインから5mの地点で組まれるスクラム。キャリーバック,ヘルドインゴール,インゴールで攻守いずれが先にボールをつけたかわからないとき,自陣インゴールでノックオン,スローフォワードを犯した場合などに行う。
コンバート convert
ゴールをねらったボールが,クロスバーの上を越えてゴールに入ること。
シザーズ scissors
みかた同士が交差した瞬間ボールをパスまたはパスしたように見せかけて相手を抜く技術。
スウィングプレー swing play
通称〈ゆさぶり〉といわれ,ボールを縦横に移動させて相手を混乱させ,そのすきにトライをとるための戦法的プレー。
スクラム scrummage
両チームのプレーヤーが互いにがっちり組んで,ボールがその中央の地面に投げ入れられるように形成される。レフェリーの命じた地点で組む。通常はフォワード全員で組むが,何人で組んでもよい。ただし,フロントローは常に3人でなければならない。
スクラムトライ scrum try
スクラム中にボールをキープし,相手を押し切ってトライすること。
スマザータックル smother tackle
相手をボールとともに抱えてパスをさせないようにするタックル。
スローフォワード throw forward
ボールを自分より前方に向かって投げること。その地点で相手側ボールのスクラム。
ダイレクトタッチ direct touch
キックやパントまたはキックオフしたボールが直接タッチライン外に出ること。前2者はキックした地点からゴールラインに平行して延長されたタッチライン上から相手側ボールのラインアウト。後者はセンターライン中央で相手側ボールのスクラム。ただし,自陣22メートルライン内からのダイレクトタッチは,ボールが出た地点で相手側ボールのラインアウト。
タックル tackle
ボールを持ったプレーヤーが,相手側のプレーヤーにとらえられたままで地面に倒されるか,ボールが地面に触れる状態をいう。タックルされたらボールを離さなければならないが,タックルされた直後であれば,前方以外の方向へボールをパスしたり,投げたり,地上で押し出してもかまわない。
タッチダウン touch down
防御側プレーヤーが,みかたのインゴールでボールを最初に地面につけること。
ダミー dummy
パスをするとみせかけて相手を抜く技術。
ドリブル dribble
ボールをけりながら前に運ぶこと。
ドロップアウト drop out
攻撃側が防御側インゴールに入れたボールを防御側がタッチダウンした場合,またはボールがデッドボールラインを越えるかタッチインゴールに入った場合に与えられる22メートルライン内からの防御側のドロップキック。その際キックする側のプレーヤーは,ボールの後方にいなくてはならない。違反すると22メートルライン中央でのスクラムとなる。また相手側は,22メートルラインを越えてチャージしてはならない。違反すると再度ドロップアウトとなる。
ドロップキック drop kick
ボールを地面に落としてはね返るところをけるキック。
ノックオン knock on
ボールがプレーヤーの手または腕によって相手側のデッドボールラインの方向に押し進められるか,あるいは手または腕にあたってデッドボールラインの方向に進むことをいう。その地点で相手側ボールのスクラム。
ノット5m not five meters
ラインアウトから投げ入れられたボールが,タッチラインから5mに達しない地点でプレーされること。責任のない側にペナルティキックが与えられる。
ノットストレート not straight
投入されたボールがまっすぐでないこと。スクラムへの投入れの場合は,相手側にフリーキックが与えられる。ラインアウトからの投入れの場合は,相手側はタッチラインから15mの地点でのスクラムかラインアウトのどちらかを選択できる。
バージング barging
ラインアウトで相手のプレーヤーを故意に妨害すること。相手側にペナルティキックが与えられる。
パント punt
ボールを手から落とし,地面につく前にけるキック。
ハンドオフ hand off
相手のタックルを手で防ぐ技術。
ピックアップ pick up
ボールをひろいあげること。ラック,スクラム内のボールを手で扱うと反則となり,相手側にペナルティキックが与えられる。
ヒールアウト heel out
スクラムの中からボールを足でかきだすこと。
フェアキャッチ fair catch
自陣22メートルライン以内で相手のキック,ノックオン,スローフォワードを両足を静止した状態で直接つかみ,〈マーク〉を要求したときにフェアキャッチとなり,フリーキックが与えられる。
フッキング hooking
スクラムの中に入れられたボールをフッカーが足でかいてけだすこと。
フットアップ foot up
スクラムで投げ入れられたボールが地面につく前にフッカーがフッキングする足をあげること。反則となり,相手側にフリーキックが与えられる。
フリーキック free kick
フェアキャッチややや重い反則に対して与えられるキック。反則で与えられるキックはゴールを直接ねらうことはできない。
プレースキック place kick
ボールを地面に立ててけるキック。
ペナルティキック penalty kick
反則に対し,罰として相手側に与えられるキックのことで,プレースキック,ドロップキック,パントのいずれを選択してもよい。
ペナルティトライ penalty try
認定トライともいう。防御側の反則や妨害がなければトライになったとレフェリーが判断したとき,攻撃側に与えられるトライ。ゴールポスト中央に与えられる。
ヘルドインゴール held in goal
インゴールでボールを持ったプレーヤーが,ボールを地面につける前に相手側プレーヤーにつかまってプレーできなくなった状態をいう。攻撃側ボールの5メートルスクラム。
ホイール wheel
ボールをキープしながら,スクラムを回転させてドリブルで前進していくフォワードプレー。
リバウンド rebound
ボールが手,腕,足(ひざからつま先まで)以外のところにあたり,相手側の方向に進んだときにおこる。ノックオン,スローフォワードではなく試合は続行される。
リメーン remain
スクラムおよびラックの際に,片方のプレーヤーがオフサイドの位置に故意に残っていること。反則となり,相手側にペナルティキックが与えられる。

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百科事典マイペディア 「ラグビー」の意味・わかりやすい解説

ラグビー

球技の一種。正式にはラグビー・フットボールrugby football。ラガーruggerもラグビーの別称。1823年英国のパブリック・スクールであるラグビー校でのフットボール(現在のサッカーの原形)の試合中エリス少年William Webb Ellis〔1807-1872〕がボールをかかえて走ったのが契機となって生まれたといわれているが,異説もある。各15名からなる2チームで対戦し,独特の楕円(だえん)状のボールを奪い合い,トライまたはゴールによる得点を競う。ボールを持って走り,自分よりうしろの者にパスしたり,キック,ドリブルなどにより前進。守備側は相手のキック,ドリブルのボールを取ったり,相手のパスをインターセプトして直接反撃するほか,ボールを持った相手にタックルして防御する。密集してボールを奪い合うラック,モールのほか,レフェリーに命ぜられて両チームのフォワードが組むスクラムがある。ラック,スクラムの際にはボールを手で扱うことはできない。相手側のインゴールに適法にボールをつけると5点(トライ),トライした地点からタッチ・ラインに平行な線上にボールを置いてキックし,ボールがクロスバーを越えれば2点(ゴール)追加し計7点。相手の反則によるペナルティキックでボールがクロスバーを越えれば3点(ペナルティゴール),競技中にボールを地面にバウンドさせてからキックしクロスバーを越えれば3点(ドロップゴール)。競技時間は前後半各40分,ハーフタイム10分。なお,7人制のセブン・ア・サイドやプロの13人制で行うリーグラグビーなどもある。ラグビーはこれまで厳格なアマチュア規定を守ってきたが(アマチュアリズム参照),1995年からアマ・プロのオープン化がなされることになった。オリンピック種目としては1900年のパリオリンピック,1908年のロンドンオリンピック,1920年のアントワープオリンピック,1924年のパリオリンピックで実施されたが,その後長く採用されなかった。2016年のリオデジャネイロオリンピックから7人制ラグビーが実施されることになった。2020年の東京オリンピックでも正式種目となっている。
→関連項目オール・ブラックスフットボール

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラグビー」の意味・わかりやすい解説

ラグビー
rugby football

15人編成の 2チームが,楕円形のボールを手や足で扱い,相手のインゴールにボールを持ち込むトライ,ドロップキックによってクロスバーを通過させるドロップゴールなどによって点を取り合う球技。ラグビーフットボールの略称。1823年イギリスのラグビー・スクールでのフットボールの試合中,ウィリアム・ウェッブ・エリス少年がボールを持ったままゴールに走ったことをきっかけにして生まれたものといわれる。1871年イングランド・ラグビーユニオン RFUが設立され,以後盛んになった。日本へは 1899年イギリス人エドワード・ブラムウェル・クラークと田中銀之助によって紹介され,1926年日本ラグビー蹴球協会(のちの日本ラグビーフットボール協会)が設立された。競技場はタッチライン 100m以内(デッドボールラインまでを含めると 144m以内),ゴールライン 70m以内の長方形で,ゴールライン中央に 2本のゴールポストに渡した高さ 3mのクロスバーを設置する。競技時間は国際試合では 40分以内ずつ前後半に分けて行ない,間に 15分以内の休憩を設ける。チームはフォワード 8人,バックス 7人で構成され,フォワードはスクラムを組むなど狭い範囲でボールを奪い合うときにまとまって動く。バックスは広い範囲を走り,ボールを効果的に回す。いずれのポジションの選手もボールをパスしたり,キックしたり,あるいはボールを持って走ることができる。審判員はレフェリー 1人,タッチジャッジ(またはアシスタントレフェリー)2人。ルールは毎年,ラグビーの国際組織であるワールドラグビー World Rugbyの総会で見直しが検討される。15人制はアマチュアゲームとして始まったものでラグビーユニオンと呼ばれ,プロフェッショナルなゲームとして始まった 13人制のラグビーリーグがある。7人制ラグビーもある。

ラグビー
Rugby

イギリスイングランド中部,ウォリックシャー県東部の町。周辺を含めてラグビー地区を構成する。バーミンガムの東南東約 40kmに位置する。ウィリアム1世の土地調査書『ドゥームズデイ・ブック』(1086)に記される古い町であるが,発展は 19世紀に鉄道が通じてからである。豊かな農牧地帯の商工業中心地で,大規模な電機工場や自動車工場が立地する。1567年創立のラグビー・スクールはイギリスの著名パブリック・スクールの一つで,ラグビーフットボール(→ラグビー)発祥の地として知られ,トマス・ヒューズの小説『トム・ブラウンの学校時代』Tom Brown's School Days(1857)はこの学校を舞台としている。地区面積 356km2。地区人口 8万7449(2001)。都市人口 6万1988(2001)。

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とっさの日本語便利帳 「ラグビー」の解説

ラグビー

ラグビー(Rugby)▼英国ウォリックシャーの都市。「ラグビー・フットボール(rugby football)」は、この地の有名なパブリックスクール(主として上・中流階級の子弟のための寄宿制私立中等学校)、ラグビー校(Rugby School)が発祥の地で、初めて競技が行われたのは一八二三年のこと。

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デジタル大辞泉プラス 「ラグビー」の解説

ラグビー

スイスの作曲家アルチュール・オネゲルの管弦楽曲『交響的楽章』第2番(1928)。原題《Rugby》。ラグビーを音楽で表現することを試みた作品として知られる。

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世界大百科事典(旧版)内のラグビーの言及

【オフサイド】より

…サッカーやラグビーやアメリカン・フットボールなどのフットボール系統の競技や,ホッケーやアイスホッケーといったスティックを使う球技,それに水球などで,相手ゴール方向への行動を制約している規定。一般的にボール(アイスホッケーではパック)を支配保持していないプレーヤーが対象で,ボールよりも前方の,ルールに定められた侵入禁止地域やプレー禁止地域に位置すること,およびその地点でプレーする反則をいう。…

※「ラグビー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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