ヨーロッパ憲法制定条約(読み)ヨーロッパけんぽうせいていじょうやく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヨーロッパ憲法制定条約」の意味・わかりやすい解説

ヨーロッパ憲法制定条約
ヨーロッパけんぽうせいていじょうやく

ヨーロッパ連合 EU憲法制定について定めた条約ローマ条約マーストリヒト条約など,これまでに締結された EUに関する条約を集約,整備したもの。EUの拡大に伴い,加盟各国を束ね,統一をはかる基本となる体制を整備する必要性が高まったことから,2002年2月にバレリー・ジスカールデスタン元フランス大統領を議長とする「ヨーロッパの将来に関する協議会」(EU協議会)が発足し,草案が練られた。2003年6月 EU協議会によって最終文書がまとめられたのち,10月の政府間会合 IGC審議に付された。12月に開かれたヨーロッパ理事会EU首脳会議)での採択が見込まれたが,おもに意思決定方式をめぐり加盟国間の合意形成が難航し,2004年6月にベルギーブリュッセルで行なわれた EU首脳会議において修正案による採択をみた。条約では EUの意義や目的を明記するとともに,EU域内各国が国家的アイデンティティを保持しつつも,一定の共通の権限事項を「連合」としての基礎によって管理することがうたわれている。具体的内容としては,(1) EUへの国際法人格の付与,(2) ヨーロッパ理事会議長の任期延長と権限強化による「EU大統領」職の創設,(3) EU共通の外交にあたる「外務大臣」職の創設,(4) ヨーロッパ理事会,閣僚理事会議決における特定多数決方式の導入などが盛り込まれた。条約の発効には全加盟国の批准が必要だったが,2005年にフランスとオランダ国民投票で否決され,未発効に終わった。(→リスボン条約

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