ヨーロッパ共同体(読み)ヨーロッパきょうどうたい

百科事典マイペディア 「ヨーロッパ共同体」の意味・わかりやすい解説

ヨーロッパ共同体【ヨーロッパきょうどうたい】

European Communities。略称ECヨーロッパ経済共同体ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体ユーラトムヨーロッパ原子力共同体)の3組織が統合し,1967年に成立。当初の構成国は仏・イタリア・西ドイツおよびベネルクス3国(ベルギー,オランダ,ルクセンブルク)の計6ヵ国。1973年英国,デンマークアイルランドの3国が加盟し,拡大ECとなった。最高決定機関はヨーロッパ理事会で,共同体の基本となるローマ条約の解釈・適用を決定する裁判所(所在地ルクセンブルク),および加盟国議員で構成するヨーロッパ議会が置かれた。1973年1月,拡大ECが成立し,それに伴ってECの機構が改められ,1.ヨーロッパ理事会(年3回)が最高決定機関となり,2.閣僚理事会は重要事項を決定し,3.委員会は執行機関としてECの運営に当たることとなった。加盟国数は,1981年にギリシア,1986年にスペイン,ポルトガルが加盟して12ヵ国となったが,1992年2月に政治・防衛・経済・社会の広範囲な統合をめざすヨーロッパ連合条約(マーストリヒト条約)が調印され,1993年11月に発効,ヨーロッパ連合EU)となった。→ヨーロッパ通貨制度
→関連項目イギリスクーデンホフ・カレルギー国家承認サミットスミソニアン体制単一ヨーロッパ議定書ヒースベネルクス経済同盟ヨーロッパヨーロッパ市場統合ヨーロッパ自由貿易連合ロメ協定

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヨーロッパ共同体」の意味・わかりやすい解説

ヨーロッパ共同体
ヨーロッパきょうどうたい
European Community; EC

ヨーロッパ経済共同体 EECヨーロッパ石炭鉄鋼共同体 ECSCヨーロッパ原子力共同体 EURATOMの3機関による地域経済統合体。 1967年6月ベルギーのブリュッセルで開かれた EEC理事会で採択され,同年7月1日に発足した。原加盟国はフランス,ドイツ (西ドイツ) ,イタリア,ベルギー,オランダ,ルクセンブルクの6ヵ国。 73年1月1日よりイギリス,アイルランド,デンマークが,また 81年1月1日にギリシアが加盟し,さらに 86年1月1日にはポルトガル,スペインが加盟した。運営担当機関として次の5つがある。 (1) ヨーロッパ議会 (2) EC閣僚理事会 (3) ヨーロッパ共同体司法裁判所 (4) EC委員会 (5) ヨーロッパ共同体首脳会議。拡大された ECの課題は共通農業政策と通貨統合とされたが,ECの基本性格は関税同盟なので,加盟国内は関税ゼロ,域外諸国には共通関税が設定された。さらに域内の労働力移動の自由化,ヨーロッパ通貨制度 EMSの導入などを経て,92年末には「市場統合」を果した。 93年 11月,マーストリヒト条約の発効により,より発展した形としてヨーロッパ連合 EUとなっている。

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旺文社世界史事典 三訂版 「ヨーロッパ共同体」の解説

ヨーロッパ共同体
ヨーロッパきょうどうたい
European Communities

従来のヨーロッパ経済共同体(EEC),ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体(ECSC),ヨーロッパ原子力共同体(EURATOM (ユーラトム) )を統合して1967年に発足した共同体。略称EC
最高機関として閣僚理事会,共通機関としてヨーロッパ議会,司法裁判所がある。原加盟国はフランス・西ドイツ・イタリア・ベネルクス3国の6か国。その後,1973年にイギリス・アイルランド・デンマークが加わり拡大ECとなり,さらに81年にギリシア,86年にスペイン・ポルトガルが加盟。また,1979年には将来の通貨統合をめざして欧州通貨制度を発足させ,87年には92年までの完全な市場統合を定めた欧州単一議定書を採択。そして1992年,マーストリヒト条約(欧州連合条約)調印および加盟各国の批准を経て,ヨーロッパ連合(EU)へと発展し,地域統合が進められている。

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精選版 日本国語大辞典 「ヨーロッパ共同体」の意味・読み・例文・類語

ヨーロッパ‐きょうどうたい【ヨーロッパ共同体】

(European Community の訳語) ヨーロッパ経済共同体(EEC)、ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体(ECSC)、ヨーロッパ原子力共同体(EURATOM)の総称。フランス、旧西ドイツ、イタリア、ベネルックス三国によるこれら三共同体の統合が実現したのは一九六七年で、七三年にはイギリス、デンマーク、アイルランドの三か国も加盟、拡大ECとなった。さらに八一年にギリシア、八六年にスペイン、ポルトガルが加盟。九三年には経済統合に加えて政治統合を目指すマーストリヒト条約が発効し、ヨーロッパ連合(EU)に発展。本部ブリュッセル。略称EC。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヨーロッパ共同体」の意味・わかりやすい解説

ヨーロッパ共同体
よーろっぱきょうどうたい
European Community

略称EC。第二次世界大戦後のヨーロッパを建て直すための地域統合機構であったヨーロッパ経済共同体(EEC)、ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体(ECSC)、ヨーロッパ原子力共同体(EURATOM)の3機関を一本化した総称。EC憲法(ローマ条約)を改正したEC新憲法(マーストリヒト条約)が1992年調印、93年11月1日発効し、EC加盟12か国はEU(ヨーロッパ連合)となった。

[編集部]

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世界大百科事典 第2版 「ヨーロッパ共同体」の意味・わかりやすい解説

ヨーロッパきょうどうたい【ヨーロッパ共同体 European Communities】

ヨーロッパにおける三つの超国家的な地域統合機構であるヨーロッパ経済共同体(EEC),ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体(ECSC),およびユーラトム(ヨーロッパ原子力共同体EURATOM)の総称。ECと略称するが,1992年のマーストリヒト条約によって誕生したヨーロッパ連合(EU)の一部となった。3共同体の立法機関である理事会と執行機関である委員会が,1965年4月に調印された融合条約によって,単一のEC理事会(通称は閣僚理事会)と単一のEC委員会に統一されることになり,67年7月1日を機に3共同体は機構的に統一され,以後ヨーロッパ共同体と呼ばれることになった。

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デジタル大辞泉 「ヨーロッパ共同体」の意味・読み・例文・類語

ヨーロッパ‐きょうどうたい【ヨーロッパ共同体】

イー‐シー(EC)

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旺文社日本史事典 三訂版 「ヨーロッパ共同体」の解説

ヨーロッパ共同体
ヨーロッパきょうどうたい

イーシー(EC)

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世界大百科事典内のヨーロッパ共同体の言及

【オランダ】より

…49年NATOの一員になり,51年ECSC(ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体),57年EEC(ヨーロッパ経済共同体),EURATOM(ヨーロッパ原子力共同体)に参加した。67年ECSC,EURATOM,EECは統合されてEC(ヨーロッパ共同体)となる。オランダはヨーロッパ統合に積極的で,ヨーロッパ議会をはじめとするヨーロッパ諸機関に参加しその民主化を唱導し,EMS(ヨーロッパ通貨同盟)発足,ヨーロッパ議会直接選挙の実施,ECへのイギリスの加盟,さらにギリシアの正式加盟決定を積極的に支持した。…

【国際統合】より


[国際統合の形成]
 近代の早い時期から種々の国際統合構想が打ち出されてきたものの,国際統合という考え方が国際政治において重要な意味をもつに至ったのは第2次大戦後のことである。これは,直接的には,ヨーロッパ共同体ECをはじめとする国際統合の動きが実際にいくつかの地域で進行しはじめたという要因が働いている。しかし,より根本的には,軍事・政治・経済・文化など人間生活のほとんどあらゆる側面において,国境を越えて活動が展開されることが常態化し,その結果,核戦争の危険,世界的インフレの進行,南北間の貿易不均衡の拡大,資源の乱獲および不公正配分,世界的な環境汚染など,個別国家単位では解決しきれない問題が頻発してきたという事情がある。…

【デンマーク】より

…正式名称=デンマーク王国Kongeriget Danmark面積=4万3069km2(本土のみ)人口(1996)=527万人首都=コペンハーゲンCopenhagen(København)(日本との時差=-8時間)主要言語=デンマーク語通貨=デンマーク・クローネDanish Kroneヨーロッパ北部,スカンジナビア3国の一つ。デンマーク語でダンマークDanmarkという。バルト海の入口を扼(やく)する483個の島とユトランド(ユラン)半島からなり,ヨーロッパ大陸に対し北欧諸国中の最南の地を占めるというその位置が,歴史上大きな意味を有する。…

【貿易】より

…1951‐70年の世界貿易の拡大率は年率8.5%という未曾有の高率であった。このなかで西ヨーロッパ諸国ではヨーロッパ共同体(EC)とヨーロッパ自由貿易連合(EFTA)を中心に貿易自由化,市場統合化が進められた。日本はこのときも少し遅れて世界経済拡大に参加した。…

※「ヨーロッパ共同体」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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