ヨウ(沃)素デンプン(澱粉)反応(読み)ようそでんぷんはんのう

改訂新版 世界大百科事典 の解説

ヨウ(沃)素デンプン(澱粉)反応 (ようそでんぷんはんのう)
iodostarch reaction

デンプン水溶液またはデンプン粒ヨウ素液を加えると起こる鋭敏な呈色反応。10⁻5mol/l程度の微量のデンプンまたはヨウ素の検出に利用。呈色は加熱すると消え,冷却すれば再び現れる。デンプンの種類により色は異なり,アミロースでは青色,アミロペクチンでは紫色で,グリコーゲンでは褐色となる。一般にグルコース連鎖の直鎖部分が30~35以上のものでは青色,8~12で赤色となり,6以下では呈色しない。発色機構としては,デンプンの鎖状分子がつくるらせん構造の空間内にヨウ素分子がとり込まれて,いわゆるクラスレート化合物(包接化合物)をつくるためである。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア の解説

ヨウ(沃)素デンプン(澱粉)反応【ようそでんぷんはんのう】

デンプン水溶液にヨウ素を加えると起こるきわめて鋭敏な呈色反応。加熱すると色は消え,冷却すると再び呈色。デンプンの種類によって色が多少異なり,アミロースでは青色,アミロペクチンでは赤紫色。微量のヨウ素またはデンプンの検出に利用される。
→関連項目デンプン(澱粉)ヨウ(沃)素

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のヨウ(沃)素デンプン(澱粉)反応の言及

【電荷移動】より

… 電荷移動による分子化合物は,われわれの周囲に数多く存在している。たとえばデンプンの確認に用いるヨウ素‐デンプン反応は,デンプンのコイル状の分子鎖の中にヨウ素分子が入って電荷移動し,新しい吸収帯を生じ,ヨウ素の褐色が青色に変化するのを利用している。また,水が他の液体と異なった特性を示すのは,水分子の間に働く水素結合に基づいている。…

※「ヨウ(沃)素デンプン(澱粉)反応」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

靡き

1 なびくこと。なびくぐあい。2 指物さしものの一。さおの先端を細く作って風にしなうようにしたもの。...

靡きの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android