ユークセン石(読み)ゆーくせんせき(英語表記)euxenite-(Y)

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ユークセン石」の意味・わかりやすい解説

ユークセン石
ゆーくせんせき
euxenite-(Y)

複酸化鉱物の一つ。少量成分としてウランあるいはトリウムがつねに含まれ、放射能鉱物の一つでもある。花崗(かこう)岩質ペグマタイト中に産し、板状結晶あるいは粒状をなす。日本では、岩手県遠野(とおの)市、富山県南砺(なんと)市などで産出する。化学式は合成実験から導かれたもので、少量成分はつねに存在する。英名は、ギリシア語で外来物に対する親和性を意味するユークセノスeuxenosに由来し、成分の複雑さを表現している。

加藤 昭]

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世界大百科事典(旧版)内のユークセン石の言及

【ニオブ・タンタル鉱物】より

…ニオブとタンタルは性質が酷似していて,天然には常に両者相伴って存在する。フェルグソン石fergusonite ABO4,ユークセン石euxenite AB2O6(斜方晶系,比重約5),サマルスキー石samarskite(化学式はAB2O6とABO4の中間の組成で,どちらもA+Bの数がOの数の1/2である。結晶中で次のAとBの元素が互いに入れかわりうるため,一つの化学式で示しにくい。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」