ユーカリノキ(読み)ゆーかりのき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ユーカリノキ」の意味・わかりやすい解説

ユーカリノキ
ゆーかりのき
[学] Eucalyptus globulus Labill.

フトモモ科(APG分類:フトモモ科)の常緑高木。オーストラリア南部およびタスマニア島原産。日本へは明治初年に渡来した。原産地では高さ60メートルに達する大木になる。樹皮は長い薄片状にはげ、青灰色で滑らかである。葉は2型があり、幼木や徒長枝では長楕円(ちょうだえん)状卵形、粉白色で柄がなく、対生する。成木では柄があり互生し、鎌(かま)状披針(ひしん)形、長さ15~30センチメートル、先がとがり、全縁である。帯白緑色の厚い革質で、表裏の区別がない。小油点が散在し、葉をもむと樟脳(しょうのう)に似た香りがある。6~7月、葉腋(ようえき)に緑白色の花を1~3花開く。花弁萼片(がくへん)と合着した帽子状で、開花のときも花弁は開かずに早く落ちて、花時には花糸が白色の多数ある雄しべが目だつ。子房萼筒に埋まっている。果実は倒卵状で角張り、長さ2~3センチメートル、青白色で表面に皺(しわ)がある。種子は細かくて多数ある。本種が属するユーカリノキ属は種類が多く500種以上あり、主としてオーストラリアに分布し、少数の種類が近隣の諸島にある。ビミナリスユーカリE. viminalis Labill.、ロストラタユーカリE. rostrata Schlecht.などはやや耐寒性があり、ギンマルバユーカリE. cinerea F.Muell.、マルバユーカリE. pulverulenta Simsなど葉が卵状円形で切り枝用に暖地で栽培するものもある。

 暖地の庭木、公園樹などに用いられ、材は明黄褐色で強く、やや耐久性があり、保存性はあるが反りやすい。建築、器具、土木、舟材などにする。葉は精油を多く含み、植物エネルギー源になり、ビミナリスユーカリの葉はコアラの主要飼料になる。

 陽樹本州の関東地方南部以西の適潤地または湿地でも育ち、成長が非常に速い。耐風性が弱く、成木の移植は困難である。繁殖は実生(みしょう)による。

小林義雄 2020年8月20日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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